フランス原子力施設による周辺の水道水トリチウム汚染

フランスの原発密集地域アビニョンでは、マルクール原子力施設から排出される水による周辺の地下水の放射能汚染、特に水道水のトリチウム汚染が問題になっているそうです。

地下水の汚染を防ぐために、地下に壁を建設しましたが、それでもまだ汚染がつづいているといいます。

マルクール原子力施設には、MOX燃料に加工する工場があり、日本もここからMOX燃料を輸入しています。

フランスの放射能に関する独立系環境保護団体クリラッド CRIIRAD:Commission de recherche et d’information indépendantes sur la radioactivité 放射能に関する調査および情報提供の独立委員会)のローラン・デボーディ理事長が、2012年3月9日、フランスのアビニョン市役所で開催されたフランス脱原発全国集会でお話しされました。


放射能汚染は一般化しているといえます。
原子力施設から出る核廃棄物から排出されています。

アビニョン市が行った調査で、この地域が汚染されているのも明らかになりました。市長に依頼されて行った調査では、基準値を超えていました。

しかし、マルクール原子力施設から数キロメートル、30キロメートル、5キロメートルのところには何も見つからない、と当局は言うのです。
放射能を排出しても、分散して消えてしまう。それはまったくのウソです。そう考えるのはばかばかしい。

私たちは調査を行い、これに反論しました。

調査の結果、水質汚染がわかりました。カマルグまで水は流れていきます。
放射性物質はそこにとどまっていません。
どんどん遠くに広がっていきます。カマルグで放射線物質を検出しました。

公式発表とは反対に、マルクール原子力施設に関する測定調査によると、放射性物質は減少していません。カマルグでは増加しています。

マルクールは、アビニョンから最も近い原子力施設です。しかも、非常に古い原子力施設でもあります。
そこでは、軍事目的を含め、さまざまな活動が行われています。
軍事施設はつねに環境に配慮しているのはわかっていますが、そこでの放射能汚染は何年も増加しつづけていることに注意しなければなりません。
その事実を私たちは知らなければなりません。

軍事施設マルクールは、地下水を汚染しています。
表面に近い地下水の放射線量は異常に高く、地下水が非常に汚染されています。
マルクール施設から排出される放射性物質は、地下水にとどまりきらないほど大量で、その汚染された地下水は流れて移動します。

施設の南にはコドレ村があり、ここではこの地下水が水道水として使われています。

マルクールを運営するCEA(原子力・代替エネルギー庁)とアレバ(現オラノ)は、地下水がこれ以上汚染されないように、地下に壁を建設しました。
施設の南側をぐるりと壁で囲み、地下水を遮断しました。
この措置が完璧ではないことは明らかです。まだ汚染されつづけています。

この地下水は水道水として、マルクールより南のたくさんの村で使われています。
水道水は主にトリチウムで汚染されています。

根本的な問題は、放射能汚染の原因が核廃棄物であるということです。

トリカスタン原子力施設もまた軍事用施設であり、同じく核廃棄物が保管されています。施設に保管されている核廃棄物はウラニウムです。
施設内を20年以上も汚染しています。

放射能をどうしたらいいのでしょう。
除染や核廃棄物の減少という方針しかありません。

(2013年12月13日)

 

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