福島原発事故の放射能汚染は海を越え海外へ

放射能に汚染された空気は、海を渡り、他の国にも影響を与えます。
海外の多くの人が、この事態を固唾を飲んで注視しています。
世界中の専門家にも協力を願い、原発事故の対策にあたってほしい。
原発事故は日本だけの問題ではないのだから…。

フランスのメディア(Rue89)で掲載された、14日(月)の専門家の意見。時間は日本時間です。

15時30分:グリーンピース・フランスのソフィア・マヨノニ氏が次のように述べる。
「日本は未曾有の深刻な事態に陥っている。ひとつの原発でたくさんの原子炉が損傷するのはこれまでなかった。損傷した3号機は、特に燃えやすい危険なMox燃料で動いている。この事故でさらに重大さが拡大する」

<16時:玄葉国家戦力担当相が、「チェルノブイリのようなことにならない」と発言。>

<16時午後:2号機の冷却装置の機能が停止したと時事通信が伝える。東京電力は、圧力を逃し、蓄積した水素による爆発を避けるために、原子炉を囲う建物に穴を空ける。>

16時15分:国際原子力機関(IAEA)の見解。
「3号機の爆発は水素が原因で屋根が吹き飛ばされたのであり、安全のための囲いには影響していない」

16時30分:エリック・ブレッソン産業・エネルギー大臣は、国営ラジオのフランス・アンテルで、「気がかりな状況」と述べ、「大災害の可能性を無視できない」と判断した。

<19時:東電が福島第一原発2号機の炉心溶融が考えられるとの発表を、時事通信が伝えた。>

19時15分:みんなが、炉心溶融が引き起こす結果を自問している。新たなチェルノブイリなのだろうか?
ヨーロッパ・エコロジー党=緑の党のミッシェル・リヴァシ議員は、「チェルノブイリのように、原発が爆発する危険性が高い」と説明。

20時30分:エネルギーと原子力政策コンサルタントで1997年に「もうひとつのノーベル賞」といわれるライト・ライブリスト賞を受賞したマイケル・シュナイダーが取材に応える。
「2つの原子炉が閉鎖するなど、これまでの歴史ではなかったことだ。想像を超える。1979年のスリーマイル・アイランドで、炉心の溶融は経験しているが、すべての方策を失ったわけではなかった。今は万策尽きている。一時しのぎでしかない」
「最悪な悪夢以上の状況にあることは明らかだと言わなければならない。状況を安定するのは非常に難しい。最後の手段を講じる段階にいる」
「施設を放棄するとき、技術者に告げることは、『日ごろの仕事を忘れなさい。健康と環境への影響を減らすことを第一の目的とした方策を見出しなさい』である。想像を超えた事態だ」

21時:AFPが環境大臣の見解を伝える。
「日本で起きていることは、明らかに、非常に深刻な原発事故である。… 大規模な災害のリスクは無視できない。… 原子炉の炉心の確認ができないのであれば、大災害のシナリオに入ったといえる」

22時:福島から飛んでくる放射能は、健康にどのようなリスクがあるのだろうか?
フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のデディエ・シャンピオン環境担当長に取材。

「日本の原子力安全・保安院によると、最初の爆発後に汚染物質があったことが確認されている。噴出し型で、ピークは1時間未満だった」
「日常的に浴びている量の少ない自然の放射能に比べると、その時点の放射能量は、1000か10000倍だと言っているが、これは何の意味もない」
その一方で、専門家は次のことを確認している。「原発の周辺の人々は、放射能のガスや空気を吸ったり、物質によるX線によって被ばくしている」

放射能で汚染された空気はどこまで行くのか?

IRSNのシャンピオン氏はこう語る。
「雲の放射能は、遠くなるにつれて、弱められる。黒くも白くもない。大気汚染は、原発から20キロ圏内に排出されたのであり、それゆえ、日本当局は、そこ以外は十分に少ない量と見積もっている」

土曜と日曜にもれた放射能は、太平洋を渡り、次第に薄まりながらも、北半球にとどまり、アメリカ大陸、たぶんヨーロッパにも1週間後には届くと思われる。そうフランス気象庁は予測している。

これに対し、IRSNのシャンピオン氏は次のように答えた。
「これほど遠い距離に達する、非常に希薄された雲には、何の危険性もないと考えている。そうであっても、我々は大気中の粒子に対する監視を強化し、専門家の議論が真実であることを確証しなければならない。なぜなら、放射能は人々に不安を掻き立てる物質だからだ」

22時30分:放射能に関する情報および独立調査のための委員会(Criirad)は、IAEAの豊富なデータに対し意義を申し立て、「金曜日からの漏れ出している放射能の量は、大気中の汚染レベルには、情報に重大な欠陥がある」と告発。

Criiradは次のように主張。
「放射線学上の危険レベルに関する発表は不可能であり、データは誤りである。入手した数値はごくわずかで、「少ない」(INES原子力事象尺度の4レベル)とか、「弱い」(日曜朝・フランス時間にナタリー・コシュスコ=モリゼ環境大臣が発表)かを保証することはできない」
「当局が、放射量は少ないとか弱いと確定するのであれば、客観的で検証可能な数値の基本要素に基いて判断すべきである」

<23時55分:NHKで2人の専門家が、「2号機の水位が減少した。炉心の溶融が進む」と説明。>

マイケル・シュナイダー氏が懸念していたように、事態はコントロール不可能のように見える。AP通信は、日本当局の話として、「燃料棒は3つの原子炉で溶融しているようだ」と伝える。

24時30分:世界保健機関(WTO)が安全性について、サイト上で、日本は適切な措置を取っており、「人体への危険は最小限に抑えられている」と発表。22人の住民に弱いレベルの被ばくが見られる、と加えいてる。

15日1時:「ドミノのようである」とヨーロッパ・エコロジー=緑の党のミッシェル・リヴァシ議員が予告する。
2号機も、1号機や3号機と同じ運命をたどるのだろうか?
「爆発を避けるためにガスを抜かなければならない。爆発の可能性は残っている」

日本からの情報は、東電が原子炉の冷却するために海水を注入している、とのこと。それができなければ、「放射能漏れがおこりうる」とミッシェル・リヴァシ議員は説明し、「『逃げろ』の警鐘」とコメントした。

フランス原子力安全局は、月曜の15時(フランス時間)から連絡が取れなかったが、電話で取材ができた。
「状況は予測を超えたものであり、燃料の溶解を避けるために容器の冷却を緊急に行わなければならない」と強調した。

ミッシェル・リヴァシ議員は、「チェルノブイリから25年たっても、我々は原発に関する情報にアクセスできない。政府からは、放射能のレベルがいかほどなのかの情報を公開しない。信じられない」

2時15分:週末以来、反原発運動が広がっている。カナルプリュス(テレビ局)の番組「グラン・ジュルナル」で、前首相のドミニク・ドヴィルパン氏が、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党のノエル・マメールと、フランスで原発に関する議論の場を設けることで意見が一致。

 

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