原子力大国フランスでも注視の福島原発の真実

今回の原発の問題は、同じように多くの原発をかかえるフランスでもトップニュースです。
日本人でさえ情報が不十分なので、フランスのメディアも憶測や推測が多い。
主なニュースソースは、日本政府の発表や日本のマスコミからで、フランスの原子力専門機関や脱原発の団体に取材をしていますが、情報公開が不明瞭な点に疑問を投げかけています。

フランスのネットマガジンRue89の記事を訳しました。
執筆者は、欧州委員会のヨーロッパ・エコロジー党の議員で、脱原発の立場からの意見です。
全文訳ではありません。誤訳もあるかもしれません。

Rue89はこの記事のほかに、「日本原発のリスク」と項目を立てて、地震と津波の情報を随時記事を更新してます。

Au Japon, des milliers de morts et la crainte d'un drame nucléaire

アクセス数は今現在、25万7000以上です。ものすごい数です。

原子力:日本は魔法使いの弟子を演じた、さて、フランスは?

Nucléaire : le Japon a joué à l'apprenti sorcier. Et la France ?

チェルノブイリ事故から25年周年の式典の準備をしながらも、世論が次第にあの惨状を忘れかけていたとき、日本で起きた地震が、原子力が提示する重大な技術的リスクを再び議論にのぼらせた。

エコロジストたちは、何年も前から、脱原発のために闘ってきた。その理由は、原発の管理運営に関連する安全性だけではない。テロリストの危険は確かに現実的であり、この産業で働く労働者が保健衛生上の結果としてこうむるリスクもある。

しかし、特にその理由は、放射線廃棄物の処理の仕方を決断できないという事実にある。廃棄物の決定的な貯蔵の問題だけでなく、テロの目的での使用といったリスクもあるからだ。日本の出来事は、過小評価どころか、隠れていたことが頻繁に起こるということをはっきりさせた。自然災害に原発は弱いのだ。

福島原発に関する情報の矛盾

日本は、フランスと並び、世界のなかでも原発の多い国のひとつであり、より正確には世界第3位であるということを知っておかなければならない。電気の生産量の3分の1は原子力で、他の国と同様、日本は2030年までに原子力依存を50%まで増やすつもりでいる。

福島第一原発に関しては、情報がコントロールされ、実際に何が起こったのかを知ることが、いまだにできない。爆発の本当の原因も疑わしい。爆発は水素を運ぶ管が原因だといわれているが、水素は容器と建物の間のスペースで生じた化学反応の結果であるとも考えられる。

温度の上昇により、水から分子の分離が生じ、水素分子ができる。容器がこの爆発で損傷したのかはまだわからない。

最大の危険、原子炉の溶融

ゆえに、原子炉の炉心が部分的な溶融があるというが、その状態についても疑わしい。ルモンド電子版の記事によると、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の原子力工場安全担当ティエリー・シャルル氏は、「情報が細分化されている」と語っている。日本の原子力安全・保安院の発表と東京電力の発表は一致しておらず、東京電力は炉心の溶解は起きていないと言い、一方、保安院は土曜日の朝にたぶん炉心の溶融だと発表した。

より大きな危険は、原子炉の溶融であり、その理由は、チェルノブイリのタイプの結果が予想されるからだ。もし炉心の溶融がはじまっていたら、原子炉タンクが溶け出す危険がある。スリーマイルズ・アイランドの事故(炉心の部分的溶融が起きた)は、遮蔽壁が無償で残り、放射能の放出を防ぐことができたが、それとは対照的で、福島のケースは違うだろう。

もし壁が爆発で破壊されたのであれば、放射能粒子の放出を遮るものがなにもなくなってしまう。

日本と隣国の保健衛生上の結果

原子炉の圧力を減少させるために放射能を含む蒸気を逃がすという、土曜日の朝に実施されたことに関しては、理に適った手段だ。放射能汚染のリスクはあっても、爆発のリスクを最小限に抑えることができるからだ。ただ、放出された放射能の雲が、健康を害する危険はある。

まず、放出された放射能が重要である。共同通信によると、一人が1時間に浴びる放射能は、福島原発の敷地内で、年間の線量の限界量と一致するそうだ。

事実、放射線を浴びたとされる原発の近くの住民の数は少ない。これらの人々は特別な洗剤を使うことになっているが、健康状態はほとんど問題ないと考えられている。実際、セシウムの汚染は、ヨードより危険性が低い。なぜなら、ヨードは非常に気化しやすいからだ。

こうした見方から、日本当局は、ヨウ化カリウムの分布を知った上で、住民の避難距離を決めたようだ。

放射能の雲は国境を知らない

次に、健康被害の危険性は現実的ではない。なぜなら、風と放射能の雲が国境を知らないからだ。当局は雲を海に向わせる風に喜んでいるが、その雲は他の国の上空を飛ぶことになる。ロシアは特に、カムチャッカ半島の領土の汚染を懸念している。

農地だけでなく、家畜の放射能汚染は危険である。なぜなら、汚染された食物の摂取は、特に子どもや妊婦の健康に深刻なリスクをもたらす。もし影響が及ぼされる国々で汚染基準を上回った場合、すべての農産物は破棄されなくてはならない。

フランスでは、Nathalie Kosciusko-Morizzetが、この惨状から起こりうる影響について、最大限の情報公開を約束した。IRSNは、フランスで収集されたデータをインターネットのサイトで公開している。

自然災害と原発

これは極端なケースである。しかし、明らかなのは、日本の決断すべき立場の人々は、魔法使いの弟子を演じて原子力プログラムごっこをしていることだ。マグネチュード7の地震に耐えうるよう技術的に建設された日本の原子力設備で遊んでいるのだ。

以前のここまで大きくない地震が起きたとき、日本は、強い地震のある国の原発の安全性について考えられることをどう判断したのだろうか? 地球上のマグネチュード4以上の地震の20%は日本で起こっているのだ。

しかし、フランスはどうだろう? このような極端な危険があるだろうか? 脱原発ネットワークによると、危険性は実際に存在しているという。2003年、フランス電力公社は、建設費を節約するために、原発の安全で最も欠くことのできない地震データを改ざんしたことを暴露した。

フランスが安全なわけではない

フランス原子力安全局は、フランス電力公社に対し、基準に従うよう警告した。地震基準は、それぞれの原発ごとに地震安全評価(SMS)に基づかなければならない。フランス原子力安全局は、フランス電力公社が、IRSNの決めた基準より下まわった数値を使っていたと指摘した。

シノン、ブライエ、サンローラン、ダンピエール、ベルヴィル、シヴォー、ビュジェ、フェッサンエイムの原発は、特に危険とされている。なかでも、フェッサンエイムは、操業期間の延長が決定して以来、最も問題視されている。これらの情報に基けば、なされる決断はたったひとつである。フェッサンエイム原発の完全閉鎖と地震基準の検証である。

乾燥や洪水が冷却を危険にする

EUでは、日本の事故を深刻に受け止めている。欧州委員会は、来週初め(訳者注:今週)に、日本の原発事故の教訓を受けて、原子力の安全と産業セクターにたずさわるヨーロッパ当局者による会議が予定されている。

原発の管理運営に関連する危険は、極端な気候によってリスクが倍増する。乾燥は、原子炉を冷却する水の量を減少させるし、洪水は危機的な偶発事故にいたらせることもあり、制御するのが難しい。真夏の偶発的な暑さが原因で、フランス電力公社はしばしば原発の運転を減少させており、そのときはエネルギーを輸入している。

 

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