フランスの放射能監視体制

フランスの放射能監視体制について、少し整理してみました。

放射能汚染に関する情報公開を担当しているのは、国立の放射能環境汚染測定ネットワーク(訳注:暫定名称)RNM(Réseau national du mesures de la radioactivité de l’environnement)で、このネットワークのサイトから、各省庁や地方自治体、民間の環境保護団体とのつながりがわかります。

各組織との連携が機能しているかどうかは別として、ひとつのサイトに大まかな情報が集約されているのはわかりやすいです。

なお、この色の組織・団体のサイトでは、福島第一原発情報をトップページで扱っています。

RNM(Réseau national du mesures de la radioactivité de l’environnement)
2003年に設立。フランス原子力安全局(ASN)の管轄下にあり、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が委託運営している。主な目的は、国民に放射能汚染の状況を伝えること。サイトでは、フランス国内の原発分布図と、その周辺の大気、食品、水、周辺環境の放射能漏れ測定値が閲覧できる。

RNMと連携している省庁、自治体、民間団体は以下の通り。

関係省庁
経済・財政・産業省:消費に関する問題
国防・退役軍人省:国防に関する問題
労働・雇用・厚生省厚生省サイト):健康に関する問題
農務省:農業関係の問題

公共サービス、公的保健衛生関係
国立衛生監視研究所(IsVS)
食品衛生安全庁(ANSES)

地方自治体
各地方自治体

原子力運営組織
フランス電力公社(EDF):フランスの電力会社、70%の株を国が保有
フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)
フランス海軍:フランス第2の原子力運営組織
アレバ(AREVA):世界最大の原子力企業
放射性廃棄物管理機関(ANDRA):核廃棄物に関する公共機関

非営利団体(日本でいうNGO/NPO)
GSIEN:原子力エネルギーに関する情報を発信する科学者グループ
ACRO:放射能漏れを監視する団体

その他の組織
ASPA:アルザス地方の大気汚染監視研究団体
BNEN:原子力設置に関する規格化(ISO認定など)委員会
IPHC:国立科学研究所

次に、RNMでリストアップしている放射能監視組織。

フランス原子力安全局(ASN)
原子力の安全をになうフランスの国家機関。放射能監視し、労働者・患者・市民・環境を守るために、法の制定や検査、情報提供を行う。

フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)
2002年発足の公共機関。フランス国内11ヶ所で放射能を監視し、情報を公開。調査や研究、啓発教育活動を行う。
関連省庁として、環境・エネルギー・持続可能開発・国土整備省、国民教育・高等教育・研究省、国防・退役軍隊省、労働・雇用・厚生省。

原発施設運営企業
原発施設運営企業や原子力関連組織も放射能漏れ監視責任を負う。

企業
放射性廃棄物管理機関(ANDRA)
アレバ(AREVA)
フランス電力公社

研究所
フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)

海軍基地
フランス国内の3つの港に停泊する原子力潜水艦

省庁管理部門・公共サービス機関
フランス農務省食料総局(DGAL)、動物検疫所(DDSV)
競争・消費・不正行為防止総局(DGCCRF)
保健総局(DGS)、地方保健福祉局(DDASS)

非営利団体(NGO/NPO)
ACRO
CRIIRAD:チェルノブイリ事故ごに設立した放射能監視研究所
AASQA:大気汚染監視団体
フランス地域情報委員会(CLI):原子力施設立地地域の住民や事業主など関係者が参加する委員会

 

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