福島原発事故当時の日本の放射能監視に関する体制

日本では放射能監視や放射能の環境影響などについて、どのような体制になっているか、調べようと思いましたが、体系的な関係はまだつかめていません。

以下は、モニタリング測定を行っている機関と、放射線研究などを行っている機関です。
これらの機関は、原子力関連機関のリンク集を参照しました。

<放射線量などのモニタリング測定>

独立行政法人 日本原子力研究開発機構(JAEA)
トップページに、「日本原子力研究開発機構(原子力機構)では、東北地方太平洋沖地震発生直後から、東京事務所において理事長をヘッドとする緊急対応体制を確立し、機構内の全拠点からの情報収集と全拠点への指示を継続して行っています。」とあるが、災害ページは20数行で終わる。「対応状況について」のPDFは3月11日から4月1日の状況をたった5ページにまとめてある。
「原子力機構各拠点のモニタリングポストにおける線量率の推移」も公表されているが、拠点ポストがどこにあるかわからず。
健康相談ホットラインとして、「原子力緊急時支援・研修センター」にリンクされている。
このセンターのサイトは、ホットラインの電話番号があるが、特に情報は得られない。
文部科学省や福島県のサイトにリンクしてあるだけ。

独立行政法人 理化学研究所
「科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めています」とある。
放射光化学の研究も行っている。
今回の原発事故については、「東北地方太平洋沖地震への対応」で、和光研究所の放射線モニタリングポストによる線量の検出などを公開している。

独立行政法人 産業技術総合研究所(AIST)
組織の紹介文をそのまま引用すると、「日本の産業を支える環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジー・材料・製造、標準・計測、地質という多様な6分野の研究を行う我が国最大級の公的研究機関」
つくばセンターに「つくばセンター災害対策中央本部」を置き、放射線量の測定を実施、結果を公開している。

高エネルギー加速器研究機構
大学共同利用機関で、「粒子加速器を研究手段に用いて宇宙・素粒子・原子核・物質・生命の謎を解き明かす加速器科学を推進し、国内外の研究者に対して研究の場を提供することを目的」に設立された。組織のひとつに、素粒子原子核研究所がある。
災害用のサイトでは、つくば市で測定された「環境放射線の測定結果」などを公開している。

一般社団法人 日本原子力技術協会
「技術基盤の整備、自主保安活動の促進を行い、原子力のより一層の安全確保を目指します」というのが、同協会の設立趣旨。情報の収集・分析・活用、安全文化の推進などの活動を行っている。
地震関連情報のページでは、3月14日から4月1日の福島県内各地環境放射能測定値、3月21日から4月1日の海水中核種分析結果(放射性ヨウ素)を公開している。
JCO事故を契機に、原子力産業における安全文化醸成活動を支援する部門として、安全文化推進部が設立された。このNSネット事業部のサイトには、今回の原発事故の記述がなく、「設備稼働状況」のページはあるが、日本地図から各電力会社の原発サイトにリンクするだけ。「福島第一原発」をクリックしても、3月11日14時以降更新されていない。

財団法人 放射線計測協会
設立の目的は、「公共的・公益的立場から原子力施設の安全性の向上と放射線計測の信頼性の向上を目指し事業を推進しています」とあり、「放射能と放射線の測定、放射線知識の普及、放射線管理技術者等の養成、放射線計測技術に関する調査及び試験研究」が事業内容。放射能の有無を知りたいときに、この協会に申し込み、有料で測定してもらえる、。
しかし、トップページに、「3月11日の地震の被災に寄り、計測の業務を停止している」とある。
それ以外、原発事故に関する記述はない。

社団法人 日本アイソトープ協会
「アイソトープ利用の促進と安全確保のために、知識・技術の普及に努め、供給から廃棄物処理まで、一貫した体制を支え」ることを使命にしている。「福島第一原子力発電所事故と放射線」のページでは、放射線に関する解説や、同協会の放射線量測定結果などが公開されている。

財団法人 日本分析センター
環境放射能分析、安定同位体比等の分析、ドーピング禁止物質・規制薬物の分析などを行っている。
「福島第一原子力発電所事故関連」のページで、千葉市で測定した空間放射線量率の測定結果などを公開している。
また、文部科学省の委託で、「日本の環境放射能と放射線」のサイトを運営。「環境の放射能と放射線についてわかりやすく説明しているサイト」とあり、文部科学省が行っている環境放射能調査の結果などを見ることができる。
しかし、環境中の放射線、空間線量率図、モニタリングポスト、東北、福島とクリックしていてたどりついたのが、データは、福島県双葉郡大熊町における2008年度(2008年4月~2009年3月)の空間放射線量率。北海道は札幌市のデータで、原発のある泊村周辺ではない。
ここには今回の原発についての情報はまったくない。

独立行政法人 国立がん研究センター
トップページに、「今回の震災に関連する放射性物質による発がんについて」と、センターの見解と提案が記載されている。それによると、かなり楽観的な論調。
国立がん研究センター中央病院(東京都中央区築地)と東病院(千葉県柏市)における放射線量測定を公開している。

財団法人 福井原子力センター
「広く一般に原子力平和利用に関する知識の普及啓発を積極的に行い、その認識を高め、もって明るい文化社会の形成に寄与することを目的」に、1972年に日設立された。
トップページから福井県原子力安全対策課のサイトにとび、福井県内の放射線量の測定結果を見ることができる。

放射能研究や情報提供機関

独立行政法人放射線医学総合研究所
放射線と人間の健康にかかわる研究開発に取り組む、日本で唯一の研究機関。「放射線の安全と緊急被ばく医療研究」も行っており、「放射線防護研究センター」では、放射線の人と環境へのイ影響、「緊急被ばく医療研究センター」では被ばく医療を研究している。
トップページで、「放射線被ばく電話相談開設中」のお知らせがあり、放射線被ばくに関する基礎知識を随時更新している。

社団法人 日本原子力産業協会(JAIF)
「政府の行う原子力開発利用計画の策定と政策の推進に協力し、原子力の平和利用を促進することによって、わが国の国民経済と福祉社会の健全な発展向上に資することを目指します。」というのが協会の趣旨。
3月16日から1日3回、福島第一原発の状況を公開している。かなり詳しい。
英語版もある。
環境影響・放射線被ばくについてのページもある。

財団法人 エネルギー総合工学研究所
「産・学・官の緊密な連携の下、技術的な側面から総合的に調査研究を行い、エネルギーの開発、供給、利用等に関する諸問題の解決に寄与することを目的」で設立された。事業のひとつに、原子力研究、原子力発電技術研究がある。
東北地方太平洋沖地震に係る情報提供について」のページで、所内研究員が作成した「放射線の影響」のほか、各機関へのリンクで、原発事故情報を公開している。
モニタリング測定結果は、文部科学省や各都道府県へリンクする。

財団法人 放射線影響協会
1960年の設立当時は、「原子力や放射線の利用を促進するため、放射線の生物 及び環境に及ぼす影響に関する知識の普及、調査研究及び調査研究の助成事業を行って」いたが、その後、原子力発電所などで働く放射線業務事業者を対象とした放射線被ばくと健康影響についての調査などを行っている。
福島第一原発の事故については、「放射線や健康影響に関する基本的事項について」PDFで6ページ紹介されている。

財団法人 放射線影響研究所
「放射線の人体に及ぼす医学的影響およびこれによる疾病を調査研究し、被爆者の健康維持および福祉に貢献するとともに、人類の保健福祉の向上に寄与する」目的で、「外務省および厚生省が所管し、また日米両国政府が共同で管理運営する公益法人として1975年4月1日に発足」した。「経費は日米両国政府が分担し、資金は日本の厚生労働省を通じて、米国はエネルギー省を通じて交付されて」いる。
サイトでは、「放射線の健康影響」などの情報が公開されている。
地震への対応については別ページが用意されており、放射線関係について、詳しく紹介している。

財団法人 放射線利用振興協会
「放射線利用の事業を振興するとともに、原子力の利用に係る技術交流を推進することにより、国民生活の向上及び国際社会の発展に寄与する」のが目的で、事業内容は、刊行物による放射線利用に関する情報提供、照射施設や研究炉のガンマ線、電子線、中性子等を利用した試験照射のサービスなど。
「放射線を照射した水晶、ガラス、真珠などを用いた装飾品を教材や記念品として頒布」もしているそう。
原発事故に関して一切記述はない。

日本核医学会
核医学研究の推進と発展を図る目的で、1964年に設立された。核医学検査や核医学治療などの情報を提供している。
トップの「福島原発事故について」で、「一般市民の方へ」と「医療従事者の方へ」
のページへとぶ。

「一般市民の方へ」には、放射線に関する用語の解説、甲状腺疾患をお持ちの患者さんへ、妊婦中のお母さん・授乳中のお母さん・将来のお母さんへ、などの解説が紹介されている。

 

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