フランス・ビュールの”核のゴミ”最終処分場反対の闘い

フランスの核廃棄物地下埋蔵処理場の建設予定地となっているビュールは、シャンパンの産地で知られるシャンパーニュ地方の小さな町。

日本でも、北海道の幌延町に幌延新地層センターがあり、放射性廃棄物の地下埋蔵に関して研究中です。
運営する日本原子力研究開発機構は、「幌延への放射性廃棄物の持ち込みはない」「研究は約束の約20年で終える(2020年ごろ)」と説明していますが、放射性廃棄物の処理については、何の進展もなく、本当に幌延から撤退するのか疑問も残ります。

ビュールも幌延町も、原子力ムラの犠牲になるのは、どの国もこうした過疎化が進む自治体です。

ビュールで建設反対運動を行っている団体のひとつが、「BURE ZONE LIBRE(ビュール地区解放)」です。

この団体は、廃墟となった家を改築した「Maison de Bure(ビュールの核のゴミ箱に反対する家)」を拠点に活動しています。

ここは、原子力問題の独立した情報を発信する場であり、反原発およびフランス東部の地下埋蔵所に反対する象徴的な場、抗議の場です。

「BURE ZONE LIBRE」はバル=ル=デュック県に2004年2月22日、15人の共同代表によって創立されました。
2004年11月、不動産会社から家を購入し、脱原発ネットワーク(訳注:フランスの脱原発組織)が40%の所有権を所有しています。

ロレーヌ地方のこの古い農家は、600平方メートルの広さで、ビュールの中心地に位置します。反原発、反核廃棄物地下埋蔵の賛同者や運動参加者を受け入れるために、この家は大規模に改装されました。

「BURE ZONE LIBRE」は、原子力をきれいなエネルギーと伝えるANDRA(フランス放射能廃棄物管理機関)のプロパガンダや公式発表に対抗し、独立した情報を提供しています。その一環として、この家には一般公開用の部屋が作られ、常設および特別展覧会、講演会、上映会などに利用しています。

ビュールは、フランス北東部、バル=ル=デュック県とサン=ディズィエ県の間に位置する、特に過疎化が進んでいる地区です。

ZIRA(処分場の設置に向けて2009年12月にANDRAが政府に提案し、詳細な調査が実施されている区域)の4つの村の住民は、1k㎡あたり6人しかいません。

1987年にはじまったフランスの地下埋蔵施設建設の最初の試みは失敗に終わりました。
住民の強い反対のおかげで、ANDRA(放射性廃棄物管理機関)は予定にしていたすべての地区から撤退したのです。

放射性廃棄物”核のごみ”の地層処分場をめぐりフランスは
フランスでは、人口100人足らずの小村ビュールに建設予定の高レベル使用済み廃棄物の地層処分場の是非をめぐる公開討論会が2013年5月15日からはじまった。ビュールでの建設に反対する団体「Bure Zone Libre」のメンバー2人に話を聞いた。

政府はすぐに巻き返しを図り、非常に過疎化が進んでいるビュールしかないと最終決定し、ANDRAは誘致に成功しました。

この地域は原子力関連施設の集中地帯になりつつあります。

2005年、たった1年の調査で、ANDRAは、ビュールの地層は数万年間、核廃棄物の放射能を含有できる、と結論づけました。それは、現実の地質学的断層を貫通し、その地方のすばらしい地熱の可能性をもみ消したものでした。

民主主義の全面的否定であり、あらゆる国民投票を拒否し、公開討論さえもなかったのです。

2006年夏、放射性廃棄物管理に関する法律が、577人のうち19人の議員により採択され、2015年まで調査がつづけられることが決まりました。

2015年から地下採掘および、地上貯蔵地区と容器詰め工場の建設がはじまる予定です。
2025年に最初の放射性廃棄物の容器が、100ヘクタールの広さの地下埋蔵所に保管されることになっています。

これにより、地下地層、地下水、そして、マルヌ川、セーヌ川、パリの貯水所まで流れる水が汚染されることになります。

「BURE ZONE LIBRE」の活動目的は、次の通りです。
・「ビュールの家」を、脱原発運動の賛同者、活動家たちの拠点、出会いの場とする
・ANDRAと原発推進派のプロパガンダに立ち向かい、あらゆる人に独立した情報を提供する
・地域、国、世界の反原発運動を活発化する
・原子力に代わるような再生可能エネルギーを促進する場とする
・自ら構築し、学習し、行動する現場という間接的な方法で、知識の交換と自律性を支援する


2013年8月31日、9月1日、ビュールで、「La Maison de Bure(ビュールの家)」主催による「ビュールの(巨大)核のゴミ箱に反対する(小さな)フェスティバル」が開催されました。

フェスティバルの開催中、フクシマの写真なども展示されました。

8月30日(金)
19時~:地元の人たちによるコンサート
21時~21時30分:サーカス上演

8月31日(土)
10時:討論会
11時:「ビュールの家」訪問
14時:ドキュメンタリー「A Bure pour l’étanité」上映
15時45分:サーカス、ダンス
16時30分:講演会
20時~:コンサート(パンク、シャンソン、ヒップホップなど)

9月1日(日)
10時:脱原発会議
11時:「ビュールの家」訪問
13時:ダンス
14時:ベルナール・ラポンシュ氏の講演
15時:オーケストラのファンファーレ
16時:演劇

(2013年12月3日)

幌延の深地層研究センター「NO! 核のゴミ」フランスも
北海道以外の人の98%が、幌延町に核廃棄物地下貯蔵施設の研究センターがあることを知らないという。幌延がなし崩し的に最終処分場になるのではないかという懸念は以前からある。フランスでも過疎の村ビュールが地下貯蔵処分場建設が決まり、闘いがつづいている。
フランスの研究者ラポンシュ氏が「核のゴミ」問題を語る
フランス原子力庁勤務した経歴のある科学者は、「MOXは核燃料のなかでもっとも危険な物質」「今のところ核廃棄物処理のいい解決方法はなく、地中に埋めるなどとんでもない方法。日本は特に、地震が起きたら、埋めた核燃料が上昇して地表に出てくる」と語る。

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