『週刊金曜日』「金曜アンテナ」2009年11月29日に掲載された記事です。
道教委が新聞・雑誌使用授業の実態調査
授業内での新聞活用をめぐり、北海道教育委員会(以下、道教委)が道立高校に、新聞や雑誌を使った授業の実態調査を求めていたことがわかった。
ことの発端は、8月下旬、帯広市の道立髙の授業で、衆院選公示日(18日)の北海道新聞社説を使用したところ、「『自民党批判にみえる社説を用いるのはおかしい』と保護者から問い合わせがあった」と自民党道義が道教委に指摘したことによる。
道教委は、「一紙のみの社説の活用は、特定政党の政策について偏った認識を生徒に持たせかねない」と判断し、9月7日と8日、全道立校に、政党の政策について記述した社説や雑誌の活用の有無を報告するよう求めた。
問題となっている授業は三年の公民で、社説のキーワードを穴埋めしたプリントを作り、生徒に解答させる形式。教諭は社説の論理には触れなかったという。
「教育現場への不当介入」との抗議に対し、道教委は「中立性を確保するための慎重さに欠けていた」と妥当性を説明している。
こうした事態の一方で、危惧されるのが、マスコミの冷ややかな反応である。道内でこの件を伝えたのは三紙(道新、毎日、十勝毎日)で、道外では琉球新報ほか二紙ほどだった。
道教委は9月末の道議会一般質問で、「指導方針を示す」と述べたが、いまだ検討中とのこと。それもあってか、現在のところ報道は全く影を潜め、このまま展開せずに収束しそうな気配だ。
戦時中に旭川の学校で起きた生活図画という弾圧事件
旭川師範学校および旭川中学の美術部を中心に、教員や生徒など関係者が、治安維持法違反で弾圧された事件。生活綴方事件は全国各地で起きたが、生活図画事件は北海道だけだ。生活画家事件では25人が検挙され、3人が実刑、13人が執行猶予付き有罪となる。
旭川の生活図画事件の犠牲者が語る”表現の自由”弾圧
北海道・旭川市では戦時中に、美術部の美術部の教師および学生が弾圧されるという生活図画事件が起きた。絵画のなかに描かれていた本を誤解され、旭川刑務所の独房に1年3ヶ月投獄された菱谷良一さんが、思想や言論、表現の自由を奪う治安維持法の脅威を語る。
子どもの権利をめぐり討論「相談すらできない」と訴える
「札幌市子どもの権利条例」の制定を目指していた札幌市で2006年12月、子どもの意見を聞くパネルディスカッションが開催された。6人の中高生らの発言から、孤独な子どもの姿と、「子どもの権利」の理念が大人に浸透していない現実が浮かび上がった。