『ビッグイシュー日本版』101号(2008年8月15日)に掲載された記事です。
ローラ・ハリスさん(米国、コマンチェ民族)
アメリカ先住民族コマンチのローラ・ハリスさんは、母親が創設したAIOの代表だ。
「プログラムという若手リーダーの育成に取り組んでいます。このプログラムは、先住民族の伝統を基礎に組み立てられており、先住民族の独自の文化を現代社会に適応させていくことを目的にしています。というのも、私たちは、アメリカの文化と自らの文化の両方を持ち合わせていますが、それが自分の中に別々に存在するのではなく、リンクさせていくことが大切だからです」
このプログラムは、ニュージーランドの先住民族たちにも実施され、多くのリーダーを生み出している。頼もしいリーダーたちはまた、政治参加の糸口としても重要のようだ。
「私がもうひとつ力を入れているのは、『投票結果が与える影響力の意義』を先住民族に教える運動です。アメリカン・インディアンはある程度のレベルでの自治権を認められていますが、システムがとても複雑で、米国人にあまり理解されていません。ですから、私たち自らが米国の政策を理解して、政治に参加していくことが大切なのです」
1965年に選挙権を認められたネイティブ・アメリカンだが、その後10年間、政界に参加できなかった。最近になり、自分たちの意向を政治決定に取り込んでもらおうと、積極的に選挙にかかわる動きが活発化している。
「私たちは人口比で2%ほどですが、西部の州では、地方選挙の多数派になることもあります。ですから、ネイティブ・アメリカンたちに『投票に行こう』と呼びかけています。地方議会では、まだ数は少ないとはいえ、先住民の候補者が年々増加しています」
アメリカの政治決定権を持つ人たちを動かせば、世界中の先住民族の権利にも影響を与えることができるはず。ローラさんの力強い言葉に、明るい未来の予感があった。