世界の先住民族 マオリ族のリアナ・プートゥー弁護士

『ビッグイシュー日本版』101号(2008年8月15日)に掲載された記事です。

リアナ・プートゥーさん(ニュージーランド、マオリ民族)

「ニュージーランド政府はすでにマオリを先住民族だと認めています。ですから、私たちが求めるのは法的な権利です。数年前に法律が変わり、マオリ民族は法廷で争う権利を得ました。現在、福祉や教育の改善、また、土地所有権や言語を取り戻すために、私たちは法廷で闘っています」

そう語るのは、マオリ民族の団体AMOの若手リーダーとして活躍するリアナ・プートゥーさん。本業は弁護士で、自らの言語を取り戻すためにこの職を選び、願いどおりその権利を勝ち取った。

「言語に関しては、ここ数年で多くの進展を遂げました。マオリ語による教育は、保育園から大学までの各機関で実施されています。マオリ語のラジオ・テレビ放送も存在します」

マオリ民族の占める割合はニュージーランド人口の12%。数は少ないが、これまでの闘いで、農水林業に従事できるようにもなった。酪農では国内シェアの半分を占め、ニュージーランドの森林ほぼすべてがマオリ民族の所有だ。

「でも、ニュージーランド政府にはやるべきことが残っています。国連の先住民族権利宣言にまだ調印していないのです。私たちは、これからも政府に対して運動を続けなければなりません」とリアナさん。個々の力は弱くても、連帯によって権利回復を実現してきたマオリ民族。

「行動を起こすのであれば、団結しなければなりません。先住民族はどこも似たような状況ですから、情報を共有することで、お互い影響を与えて高めあっていけるのではないでしょうか」

リアナさんのように、弁護士や医師、政治家といった専門職につくマオリの女性は珍しくないそうだ。スピーチのたびに美しい歌声を披露した彼女は、にこやかな表情で最後にこう述べた。

「マオリの女性はたくましいのです」

 

アイヌ民族の手仕事を伝える島崎直美さんインタビュー

世界の先住民族 リーダーを育てるコマンチェ民族の女性

研究目的で盗掘されたアイヌ遺骨の返還を求めて訴訟
研究者らが無断で掘り出したアイヌ民族の遺骨をめぐり、返還を求める訴訟が起きた。大学などに保管されている遺骨を、北海道・白老の象徴空間に集約するという政策に異議を唱える。『The Japan Times』 2018年7月26日に掲載された記事。

植民地問題に関する記事一覧

差別問題に関する記事一覧

タイトルとURLをコピーしました