次なるパリを着る!

『VoCE』1999年8月号に掲載された記事です。

Paris Confidential 次なるパリを着る!
お嬢さんBCBGは完全に過去のものになって

ファッションに全力投球! モードの都のエリート
ブランシェ(流行最先端)

常に流行の最先端を突っ走るファッション・ヴィクテム。ファッション業界に精通しているため、最新の情報はすぐ手に入る。ただし、ミーハーに飛びつくのはダサいとみなし、あくまでもクールに、カッコよく流行を取り入れるのが通。A.F.ヴァンデルヴォルスト、ヴェロニク・ブランスキーノ、マーク・ジェイコブス、ヨージ・ヤマモト……。セレクトショップで、これらの期待の新進デザイナーを目ざとく発見するのが最大の喜び。目標は、次なるデザイナーをいち早くキャッチすること。マレ、バスティーユ、オベルカンフあたりでは、良く知り合いに出会う。コレットの地下で待ち合わせをし、回転寿司ロー・スシで打ち合わせてがてら食事をすることも。普段の生活では、日本から輸入のZENがテーマとなっている。風水に凝り、健康のために植木の位置を変えたりして過ごす。注目されることに疲れ、睡眠前にハーブティーでストレス解消。

黄金の’70年代をもう一度、ユートピアを夢見て漂う
イッピー(ヒッピー)
ラブ&ピースを叫ぶのではなく、ビザール(奇妙)を求める世紀末イッピー。人と同じものを嫌い、個性を強調する彼女たちだが、女の子同士でつるもことが多い。’70年代に母親が着ていたサイケなドレスを欲しがり、古着屋をくまなく回り、ヴィンテージものを見つけて狂喜する。週末はクリニャンクールのマーケットを探索するのが習慣。尊敬する人はダライ・ラマで、チベット、アフリカ、東洋などの文化を過大評価する傾向に。生活雑貨にもエスニックものを加えたがり、トルコのスリッパ、モロッコの民族衣装、チベットの生地など、彼女たちのまわりは、いつも奇妙なものであふれている。絞りのTシャツにジーンズ、もしくはエスニック模様のロングスカートがユニフォーム。足元は、はき古したスニーカーかクラークスのワラビー。ロングヘアはメッシュし、ボサボサっぽくキメる。アクセサリーが命のヒッピー娘。ブルジョワの簡単入れ墨が今年のチェック商品のひとつ。

先天的お嬢様を自覚、さりなげくブランド主張
ナップ
ブローニュの森に囲まれた高級住宅街、ヌイイー(N)、オトゥイユ(A)、パッシー(P)に住み、生まれた時からお金持ちのお嬢様がNAP。ブランド好きは母親ゆずり。ママはシャネル、エルメスの常連だが、娘たちはラルフローレンやグッチ、プラダといったイタリアものがお気に入り。新しいデザイナーより、格で勝負の彼女たち。ブランドを見せびらかすことも、子供の時から慣れっこ。とにかく、”見た目の格好良さ”が一番のこだわりだと信じている。犬の散歩、ショッピング、ランチ、お茶etc.と、外出が大好き。いつも携帯電話を持ち歩き、最新モデル、ノキアのシルバーを、高価なアクセサリーとともに肌身離さず身につけている。スリムな体は、エステのたまもの。そのボディを強調するのが、ぴったりフィットタイプのファッション。さらに、今年の足元はトッズ、アディダス、ニューバランス。平日は、なじみのサロン・ド・テで2時間以上女友達と過ごし、週末は家族そろって海辺の別荘でバカンス。

エレガントをくつがえす、若者文化のパワー発揮
リュ(ストリート)
昔はパリで”ダサい”とされていたファッションのひとつだが、ここ数年、若者を注意sンにストリートファンが急増。バギーパンツとスニーカーが代表アイテムで、レディ・ソウル、クーカイ、モルガンが、彼女たちのお気に入りブランド。バッファロー、ノー・ネームの15センチ底の靴を履き、大きなバッグを斜め掛けにしょっているのが目印。20ans、J&Jといった雑誌から、ファッション、ビューティ情報をすかさずキャッチ。人気のヘアスタイルは三つ編みかシニョンで、ターバン風に髪に巻きつけるのも、最近の流行り。ノーメイクでの外出はご法度らしく、メイクはやや派手めで、青、黒、緑のマニキュアやリップにもチャレンジする。テクノ、ラップが彼女たちの音楽。道路が活動エリアなため、いたるところにタムロしていて、人々のヒンシュクをかったりしている。本場ロンドン・ストリートにあごかれているが、フランス人魂が邪魔して、イマイチあか抜けない。

流行を少しプラスした、誇り高きパリ風着こなし
ネオ・シック
古きよく時代のパリジェンヌ精神を受け継いでいる女性たちは、スノッブなお洒落エリアとして、今でもサンジェルマンが最高だと信じて疑わない。ファッショナブルでとてもシックだが、ブランドを見せびらかしたりしない。自分らしさを表現するのがポリシー。カラーコーディネイトが着こなしの基本なので、毎朝、鏡の前で長時間かけて工夫する。パリジェンヌの永遠のカラー、グレーを今風にアレンジするのが、このところの課題。ザラ、タラ・ジャーモン、H&S、ラ・シティ、プロモなど、TPOに応じてショップを選ぶ。シンプルなデザインが中心で、丸首のプティ・バトーのTシャツ、グレーのパンツスーツ、トッズのシューズかスニーカー、ロンシャンのバッグが好みのアイテム。エルなどの雑誌で紹介されたレストランやバーをチェックし、ナイトクラブにも出入りするミーハーでもある。

 

スウィンギングロンドン(1998年)
『VoCE』1998年9月号に掲載されたロンドンのトレンド特集記事の抜粋です。 ②FoodとFashionのレベルは比例する!? ”ロンドン=不味い”の定式が崩れた。'90年代初めのロンドンのレストランは、雰囲気、質、サ...
ファッションの若き才能が開花するセント・マーティンズ
多くをファッションデザイナーの輩出している、ロンドンのファッションスクール、セント・マーティンズ。ファッションについて学ぶといっても、縫い方の技術が重視よりも、それぞれの個性を発展させる教育方針がとられている。生徒同士で批評をしあうのも特徴だ。
パリ·ロンドン·ミラノ·NY世界4都市"美しい女の定義"
パリジェンヌはシックという言葉で美を評価する。いきすぎず、人まねではなく、粋なエスプリを感じさせる。はちゃめちゃで型破りなのがロンドンの女性たちの魅力。ミラノの女性は人間の本能のままに生きる。ニューヨーカーが求める美しさはシンプルでナチュラル。

 

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