2016年10月18日、東京地方裁判所で、大間原発建設差し止め裁判の第10回口頭弁論が開かれました。
毎回、収容席数98席の広い第103法廷で行われ、いつも定員数以上並ぶので、抽選で傍聴券が配られます。
はずれは少ないはずなのに、クジ運悪く、はずれた…でも、傍聴券を譲ってもらい(ありがとうございます)、この日も傍聴できました。
今回は、原告側(函館市)の代理人弁護士が、「竜巻による大間原発の危険性」をプレゼン。前回は、「火山の影響の想定誤りによる危険性」でした。
2016年8月、函館市に行ったときに、大間町を訪れ、建設中の大間原発を見てきました。
函館から大間までは、フェリーで1時間半。
朝9時半に函館港を出港し、11時に大間港着。
夏以外は1日2往復しかないため、帰りは大間港発14時10分に乗船。
超短時間の滞在でしたが、実際に町を歩き、地元の方と少し会話でき、行った価値がありました。
まず驚くのが、大間港から大間原発がくっきり見えること。
見たくないのに見える。人家に近い。それだけでゾッとする。
写真中央、クレーンの右の白い屋根の灰色と水色の建物が原子炉建屋です。
過去に2回、見たくなくて見えてしまった原発に、ゾッとしたことがあります。
ひとつは、岩内のホテルの窓の真正面に見えた泊原発。
朝、爽やかな気分でカーテンを開けたら、目の前にくっきり泊原発の姿。
もうひとつは、フランスのパリからアヴィニョンに向かう電車TGVの窓から見た、ロワール川沿いに建つベルヴィル原発。
すごい至近距離で、ひっくり返りそうになりました。
この大間原発も、見たくないのに、フェリーに乗るたびに見てしまう近さ。
西吹山展望台から見た建設現場。
この近くに、「陸(おか)マグロ」と呼ばれる大間牛の牧場がありました。
のどかな風景です。
こちらが漁港。マグロ漁船も。
そして、大間崎。
大間埼灯台の向こう、津軽海峡をはさみ、函館市が見えます。
大間原発建設差し止め訴訟の第1回口頭弁論で、工藤壽樹市長は次のように意見陳述しています。
福島の原発事故によって、はっきり分かったことは、ひとたび原発の過酷事故が起きると、地方自治体、その地域が事実上半永久的に消え去る事態に陥るということです。……
地震や津波のような自然災害も大きな被害をもたらしますが、まちを再建することはできます。……
戦争もまちに壊滅的な打撃を与えますが、復興は可能です。……
しかし、放射能というどうしようもない代物を広範囲にまき散らす原発の過酷事故は、これまでの歴史にない壊滅的な状況を半永久的に周辺自治体や住民に与えるのです。……
私たち函館市民は、承諾もなく近隣に原発を建設され、いざというときに避難もままならない状況の中に置かれることになります。
自分たちのまちの存続と生命を守るために、この訴訟を起こしたのです。……
世界を震撼させた福島原発事故を起こした我々世代の責任として、最低限立ち止まって考えるべきだということを申し上げたいのです。そのため私が訴えてきたのは、原発建設の無期限凍結なのです。
福島の事故を目の当たりにし、その後の福島の現実を見て、原発に大きな不安を抱く多くの人たちに対し、国や事業者は真摯に向き合い、もっと丁寧な対応をすべきだということを申し上げたいのです。
今はその努力、姿勢が全く欠けていると言わざるを得ません。……
裁判については、函館市のHPに詳しく情報開示されています。
(2016年10月30日)

