フランスの週刊紙『カナール・アンシェネ』の原発特集号(2011年10月)に掲載された記事です。
タイトルは、「Les wagons lie(ゴミの車両)」。
放射性物質を積んだ列車やトラックは、長年、フランス国内を行き来してきた。
ほとんど毎日、ノルマンディー地方のヴァローニュ終着駅の鉄道員は、核廃棄物の輸送車両が詰まれるのを見ている。
原子炉の炉心から取り出された核廃棄物は、トラックに積まれ、ラ・アーグのアレバ工場に直行する。フランス電力公社は、毎年、約1200トンの使用済み核燃料を再処理するためにラ・アーグに運ぶ。
隣国の核廃棄物もラ・アーグに運ばれる。イタリア、スペイン、オランダ、スイス、ドイツである。出発時刻や旅程は秘密だ。
「核廃棄物の一部をヴァローニュに運ぶには、大きな駅をいくつか通過しなければならない。ヴァランス、リヨンなどだ。パリを迂回するために、RERの路線を借用する必要がある」とクリラッドのロラン・ドスボルド代表は説明する。
核廃棄物を積んだ車両は、人口密度の非常に高い地区を横切る。しかし、住民も、関係する議員も、誰もその情報を伝えられることがない。
鉄道員のなかには、心配する人もいる。「放射性物質を直接扱う仕事をするのに、特に何の情報もなく、それが低レベル放射性物質なのか高レベルなのかもわからない。まるでソフトフォーカスだ!」と、SUD-Railのフィリップ・ギテール理事は説明する。
放射性物質を積んだ車両は、とにかく明白だ。「ガイガーカウンターは、200メートルで検知する。それが近づくと、放射線量は著しく上がる」とロラン・ドスボルドは続ける。「これらの車両のひとつから1メートルのところに30分とどまるだけで、一般の人の年間放射線量に十分達する」 議員のなかには、それを心配している人もいる。
一度取り出されたフランスの核廃棄物は、決定的な貯蔵の解決法が見つかるまで、ラ・アーグに保管されている。海外の核廃棄物は、再び送り返される。各国の所有者は、一度処理が終わったら、これらの熱い核廃棄物を回収する。結果、10もの車両が毎年フランスを横切ることになる。
反原発活動家たちが、その輸送をしばしば阻止しようとする。昨年秋、ガラス固化された核廃棄物120トンをゴルバンに移送する際、ヴァローニュ駅から出発した装甲車両の通過ルートが通報された。この「チェルノブイリ車両」を告発するために、Ganva(反原発の非暴力活動グループ)はカーン近くの鉄道で強硬な抵抗を繰り広げた。彼らのうち3人が、皮膚移植を必要とする重度のやけどを負い、7人が業務執行妨害で告訴された……。
毎年12万ほどの核の「小包」のいくつかが、その地域を通過する。なかには非常に危険なものも入っている。ラ・アーグで核廃棄物から抽出されるプルトニウムで、それはマルクールのメロックス工場でのMOX燃料製造に加えられる。
どのぐらいの頻度でプルトニウムは輸送されるのか? それを知るのは難しい。「国防上の守秘」だからだ。そうした理由で、プラトニウムはカテゴリー1の物質として仕分けされる。爆弾を製造するのに、プルトニウム数キロで十分だ。
フランス・グリーンピースの広報担当ヤニック・ルースレは、それが公然の秘密だとみている。「プルトニウム数キロを乗せた2、3台のトラックが、毎週ラ・アーグからマルクールに向けて出発する。定期移送を予定より早く行うのは簡単だ!」
その件を質問されたアレバの輸送部広報官は否定しないが、彼にしてみれば、すべてがコントロールされているとみなしている。移動警備員のライトバン2台がトラックを取り囲み、輸送は国防治安の高等機関に監督される。IRSNが味方となり、安全基準を尊重して注意を払っている。
輸送を担当するジェローム・ジョリィは、そこには一定の脆弱性があるという。「輸送のたびに何か問題が発生する。何事も絶対起こらないとしたら、自分たちの存在が正当化されない。たとえば、それらは傷つきやすいので、梱包を変えなければならない、といった事態が起きる」
(2013年12月4日)