フランスが懸念する再処理不可能なMOX燃料の危険性

日本の原発で使用されているMOX燃料は、フランスで製造されています。
MOX燃料については、フランスでも、製造過程での労働者の被ばくの危険性や、使用済み燃料の処理方法などで問題になっています。

以下は、フランスの週刊紙『カナール・アンシェネ』の原発特集号(2011年10月)に掲載された文章の抄訳です。


フランスの58基の原子炉から毎年、1200トンの核廃棄物が排出される。この核廃棄物はラ・アーグで処理されるが、最も危険な物質、特にプルトニウムを現在抱え込んでいる。

300の核弾頭ミサイルに満タン充填できる量だ。そのプルトニウムで何をするのか?

アレバとフランス電力公社は、核燃料としてプルトニウムを再利用するアイデアを思いついた。劣化ウランにプルトニウムを少し(平均7%)加え、MOX燃料を製造し、20の原子炉に供給している(将来はEPRにも供給する)。

核廃棄物の再処理によって製造されるMOX燃料については、「グローバル・シャンスの刊行物」(29号、2011年4月)で、いくつかの問題点が指摘されている。

表面温度は80℃になる(一般の核燃料は室温)ため、取り扱うには特殊な装備が必要。MOXの存在は原子炉の管理をより難しくする。問題が起きたとき、「危機」、つまり過剰臨界のリスクが高い。原子炉から取り出すときの温度が普通の核燃料より非常に高く、最終貯蔵する前の冷却プールに入れておく期間が3倍かかる。

つまり、普通の核燃料が50年なら、MOXは150年。1キロのMOXの放射能は1キロの天然ウランの1000倍。MOXの製造、輸送、取り扱い、貯蔵には、安全性について非常に注意しなければならず、一般の燃料より厚い防御壁を備えた施設を必要とする。原子炉1基につき約7.4トン/年のMOX燃料が必要である。使用済みのMOX燃料は再処理ができず、そのプラトニウムは、軽水原子炉ではもはや使用できない。

マルクールのメロックス工場は、MOX燃料を製造する世界で唯一の工場である(イギリスの同類のセラフィールドは、福島事故のあと、2011年8月に閉鎖した)。この工場は、2010年に128トンのMOX燃料を供給した。3分の2がフランス電力公社、残りの3分の1がドイツと日本向けである(しかし、ドイツの脱原発計画と、日本の慎重なニュースにより、出口がほとんどなくなる)。一度使われたら、MOXはラ・アーグに戻され、プールに貯蔵される(2010年末で1380トン)。

(2013年12月17日)

フランス核廃棄物再処理の現状「リサイクル」はごまかし
使用済み核燃料1トンから、”再処理”によって、ウラン950キロとプラトニウム10キロが生産される。プルトニウムの一部は再び加工され、MOX燃料となる。MOX燃料は、使用後の再処理はできない。「リサイクル」とはいうものの、ごまかしでしかない。

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