フランス核廃棄物再処理の現状「リサイクル」はごまかし

フランスの週刊紙『カナール・アンシェネ』の原発特集号(2011年10月)に掲載された記事の抄訳です。

タイトルは、「Un recylage canonique(基準にかなったリサイクル)」。

放射性廃棄物は96%再処理される! アレバの勝利。

しかし、それは間違いである。廃棄物の4%だけが再処理されるのだ。原子力の安全に関する情報開示高等委員会に参加した市民団体はそう主張した。この差はどのように説明できるのか?

プールで冷却(約2年)した後、フランスの原子炉で使用されたすべての使用済み核燃料は、ラ・アーグへ輸送される。運ばれた使用済み核燃料は放射線量が低くなるまでそこに数年間保管され、超高レベルの場合は10年そのまま保管される。

そのうちの3分の2は、複雑な産業手順がとられる。よく知られている濃縮ウラン棒は、ガラス固化される。次にそれらを分解する硝酸液に浸し、プルトニウム、ウラン、核分裂性物質の混ざった溶液に変える。それから、残りをウランとプラトニウムを分離させなければならない。そして、2つの要素を浄化し、濃縮する。などなど。

使用済み核燃料1トンからは、「再処理」によって、ウラン950キロと、「分離された」プラトニウム10キロが生産される。核分裂物質、粒になったシェル(曲面版)と末端金属を含む残りの40キロは、「最終核廃棄物」とみなされる。これらは特に危険性が高く、最低でも1万年はビュールの地下埋蔵施設に埋められる。アレバでさえ再処理できないと認めている4%が、この最終核廃棄物である。

プルトニウムの一部は再び加工され、MOX燃料として使用される。MOX燃料は、使用後の再処理はできない。「リサイクル」とはいうものの、ごまかしでしかない…。

ところで、再処理されたウラン950キロは、アレバが自慢するように、本当に「リサイクル」されるのだろうか?実際には、再濃縮するために15%をロシアに送り、残りは、適当な時期を待ってトリカスタンに貯蔵される。すでに22000トン(天然資源からの劣化ウラン26万トンを数に入れずに)以上存在している。

このウランが、ニジェールで採掘されるウランと競合する日が来るのかどうか、いまはわからない。ゴールド級の費用で核廃棄物を「再処理」して、何の役にたつというのか?

ラ・アーグ工場を稼働するのに、年間約100万ユーロかかっている。工場は、大量のガスと液体を排出している。この工場だけで、全フランス原子力産業の集団放射線量の80%を排出している。法律では、フランス電力公社に、核廃棄物の取り扱いを義務づけている。

フランス電力公社は「再処理」に消極的になりはじめた。ほんの一部だけがリサイクルされ、それにかかる費用がものすごく高い…。ラ・アーグはもうすぐ閉鎖されるだろうか?
アレバにとっては幸運にも、「第4世代」原発があり、これらの新しい原子炉は、原子力エネルギー庁が入念に準備しているところだ。研究中の4~5の炉型式のなかには、スーパーフェニックスの改造版として評価されるようなものもある。

ここにも同様の議論が伴う。技術は進歩し、原子力はクリーンで確実で、豊かで安い。たくさんのプルトニウムを製造し、それを消費する! これらは原子力エネルギー庁のサイトで読むことができる。「フランス電力公社の総数と実際同じ出力の高速増殖炉は、少なくとも2500年間、使用済み核燃料と劣化ウラン、もしくは現在フランスの施設に保管されている再処理燃料だけで稼動するだろう」

フランスはもうすぐ、ほぼ無料で、2000年以上の電気を提供できるだろう! サルコジ政権はそれを考えているようだ。大借金を抱える状況で、6億5000万ユーロを原子力エネルギー庁に提供し、アストリの原型を建設する支援している。2017年にはマルクールでその日を迎えるだろう(2050年ごろには原子力産業施設を一般化できる)。ここでもう一度、放射能にあふれた未来が、すぐそこの道端に控えている。

(2013年12月15日)

核燃料の再処理継続は”ルーズ・ルーズ”(負け)の戦略
安全性や経済性、核不拡散の面から、使用済み核燃料の再処理政策の転換の必要性を強調。六ヶ所再処理工場へ搬出以外の方法はないという考えがまさに“くびき”。再処理から貯蔵への変換が必要。MOX燃料の使用を継続しするのはリスクを増加させるだけ。

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