オリンピック開催を1年後に控えた2011年10月15日、ロンドンの金融街シティでは、99%デモが行われました。
この日、たまたまロンドンにいたので、オリンピック会場とデモを見学。
6年ぶりにロンドンを訪れた。
エンジェルに用事があり、その辺を歩いたら、大きく変貌していた。
昔(10年以上前)は何もなかった通りは店でうめつくされ、ショッピングセンターもできていた。
大型店舗チェーンが多く、いかにもグローバリゼーションの尖端を感じさせる。
初日に2件万引きを目撃してしまった。いずれも若者。
繁栄しているようで、儲けてるのは一部の人だけなのだろう。
夜のBBCニュースで、翌日、デモが行われることを知った。
「ギリシャ、ウォール街、スペインのデモが、ロンドンにも広がった」との報道。
セントポール寺院近くに集まり、シティをデモ行進するという。
ニュースでは、集合場所は私有地で、進入禁止とか。
翌日朝10時、デモ隊の侵入を阻止するため、すでに警官が警備をしていた。
デモ隊の姿はまだ見えない。
セントポールに立ち寄った後、オリンピック会場となるストラトフォードに行ってみた。
ロンドン東部イーストエンドは、ずっと昔は何もなく、足を踏み入れたことがなかった。
地下鉄を降りたら、いきなり近代的な都会が現れてビックリ。
巨大ショッピングセンターがピカピカしていた。
イギリスの下町人情連続ドラマ「イーストエンダーズ」は、まだ続いているのだろうか。
そんなことを考えてしまった。
あのドラマに出てくる素朴な風景や人物は、この街の近代化に伴い、どう変化したのかなぁ。
ショッピングセンターの横がオリンピック会場。
道路から金網ぞいに、スタジアムが見えた。土曜日の朝だから、工事はしていなかった。
よく見えなかったので、デパートの上から、もう一度眺めた。
まだあまり完成していない印象。しかし、大開発である。
午前中は人がまばらだったが、昼ごろにはものすごい賑わいになった。
地下鉄を降りた大勢の人たちが、ショッピングセンターのなかに呑み込まれていく。
オリンピック開催時には、もっと多くの人が訪れるのだろう。
12時過ぎ、再びサンポールへ。
ここには、デモの人たちがたくさん集まっていた。
女子大生二人は、「不公平な今の社会に反対するために参加した」と言う。
また、若い女性の二人組みにも話を聞いた。
「今の金融システムは間違っている。税金が私たちのために使われていない。今の政権はまったく民主的ではない」
「私イーストエンド出身。オリンピックの再開発で、この地区を立退きさせられた人もいる。チケットは高すぎて地元の人は買えない。チケットの多くは、企業にわたっている。私たちの税金なのに、何の恩恵もない」
何が驚いたかというと、デモを取り囲む警官の数。
ロンドン在住の友人によると、キャメロン政権になってから、デモの制圧が強まったという。
途中、デモ隊と警官の衝突があるかと思わせるような雰囲気になった。
セントポールの地下鉄は封鎖され、機動隊まで動員された。
最後まで見届けることはできなかったが、非暴力で終わったようだ。
(2019年10月20日)