オリンピック前年にロンドンでシティ占拠の大規模なデモ

オリンピック開催を1年後に控えた2011年10月15日、ロンドンの金融街シティでは、99%デモが行われました。

英国、デモに表れたオリンピックへの不満 99%デモ
2012年オリンピック開幕に向け、ロンドン東部は急ピッチで開発が進められている。一方、世界各地で格差是正デモが拡大した10月15日、金融街シティが占拠され、参加者はオリンピックへの不満も。『ビッグイシュー日本版』2011年12月15日の記事。

この日、たまたまロンドンにいたので、オリンピック会場とデモを見学。


6年ぶりにロンドンを訪れた。

エンジェルに用事があり、その辺を歩いたら、大きく変貌していた。

昔(10年以上前)は何もなかった通りは店でうめつくされ、ショッピングセンターもできていた。
大型店舗チェーンが多く、いかにもグローバリゼーションの尖端を感じさせる。

初日に2件万引きを目撃してしまった。いずれも若者。
繁栄しているようで、儲けてるのは一部の人だけなのだろう。

夜のBBCニュースで、翌日、デモが行われることを知った。
「ギリシャ、ウォール街、スペインのデモが、ロンドンにも広がった」との報道。
セントポール寺院近くに集まり、シティをデモ行進するという。
ニュースでは、集合場所は私有地で、進入禁止とか。

翌日朝10時、デモ隊の侵入を阻止するため、すでに警官が警備をしていた。
デモ隊の姿はまだ見えない。

セントポールに立ち寄った後、オリンピック会場となるストラトフォードに行ってみた。
ロンドン東部イーストエンドは、ずっと昔は何もなく、足を踏み入れたことがなかった。
地下鉄を降りたら、いきなり近代的な都会が現れてビックリ。
巨大ショッピングセンターがピカピカしていた。

イギリスの下町人情連続ドラマ「イーストエンダーズ」は、まだ続いているのだろうか。
そんなことを考えてしまった。
あのドラマに出てくる素朴な風景や人物は、この街の近代化に伴い、どう変化したのかなぁ。

ショッピングセンターの横がオリンピック会場。
道路から金網ぞいに、スタジアムが見えた。土曜日の朝だから、工事はしていなかった。
よく見えなかったので、デパートの上から、もう一度眺めた。
まだあまり完成していない印象。しかし、大開発である。

 

午前中は人がまばらだったが、昼ごろにはものすごい賑わいになった。
地下鉄を降りた大勢の人たちが、ショッピングセンターのなかに呑み込まれていく。
オリンピック開催時には、もっと多くの人が訪れるのだろう。

12時過ぎ、再びサンポールへ。
ここには、デモの人たちがたくさん集まっていた。

女子大生二人は、「不公平な今の社会に反対するために参加した」と言う。
また、若い女性の二人組みにも話を聞いた。
「今の金融システムは間違っている。税金が私たちのために使われていない。今の政権はまったく民主的ではない」
「私イーストエンド出身。オリンピックの再開発で、この地区を立退きさせられた人もいる。チケットは高すぎて地元の人は買えない。チケットの多くは、企業にわたっている。私たちの税金なのに、何の恩恵もない」

何が驚いたかというと、デモを取り囲む警官の数。
ロンドン在住の友人によると、キャメロン政権になってから、デモの制圧が強まったという。

途中、デモ隊と警官の衝突があるかと思わせるような雰囲気になった。
セントポールの地下鉄は封鎖され、機動隊まで動員された。
最後まで見届けることはできなかったが、非暴力で終わったようだ。

(2019年10月20日)

フランス「黄色いベスト」運動についてピケティの寄稿
フランス「ルモンド」紙電子版(2018年12月)に掲載されたトマ・ピケティの寄稿の抄訳。政権を救いたければ、マクロンは即座に富裕税(ISF)を復活させて、その税収は、燃料税の上昇で一番苦しんでいる者の損失補完に当てられなければならない。

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