『ビッグイシュー日本版』「世界短信」2011年12月15日に掲載された記事です。
来年のオリンピック開幕に向け、会場となるロンドン東部は、急ピッチで開発が進められている。
ストラットフォード周辺は巨大ショッピングモール街へと大変身。
以前は下町情緒残る地域だったが、多国籍企業ブランドの近代的なビルが立ち並び、昔の面影はない。
繁栄を享受しているようなロンドンだが、世界各地で抗議行動が拡大した10月15日、金融街シティでデモと占拠が行われ、参加者からはオリンピックへの不満も聞かれた。
ロンドン東部出身のニコルさんは、「私たちの税金なのに」と怒りをぶつけた。
「立ち退きさせられた住民もいるの。貧困家庭は特にひどい状況においやられたわ。会場建設には、多額の税金が使われている。オリンピック終了後、あの場所を地元住民のためにどう使うの? そのまま残るだけじゃないかしら」
「私たちはチケットを手に入らないのよ。企業が大量のチケットを買い占めてしまったから!」
抗議行動の集合地点となったセントポール寺院前広場では、デモの日以来、市民がテントに寝泊りし、「ロンドン証券取引所占拠」をつづけている。
「納税者が何の恩恵も受けないのは不公平」との声にどう応えるかが、オリンピック成功のカギになりそうだ。