「世界はつながっている」SDGsのために何ができる?

G8(2008年)勉強会の2回目と最終回(5回目)は、ボリビア人オルランドさんのプレゼンテーション。

グローバリゼーションや国際社会の仕組みについて、面白くわかりやすい解説です。オルランドさんの話を聞いていると、地球が好きになるから不思議。

こうした勉強会はもっとやりたい、と思う。この勉強会は、札幌国際プラザの助成金をいただいて実現しましたた。感謝です。

以下、プレゼンテーションの内容を紹介します。


この地球の写真が大好きな理由が2つあります。

ひとつは、国境がなく、人々の違いがなく、人々がお互い戦っているのも見えないから。

もうひとつは、深い青色とはっきりした白色が強調されたカラーの美しさ。

私は国境を信じていないので、地図に国境を描きません。
この地球には、私の従兄弟や家族、友人だけでなく、白人、黒人、先住民など、たくさんのたくさんの人がいます。

人間だけが住んでいるわけではなく、鳥、虫、哺乳類、たくさんの植物といった生き物も存在しています。

でも、人間は他の生物の土地を奪い、動物や植物を利用して、生活を維持しはじめました。工業化された大農場で家畜や農作物を育て、できるだけ多くの食糧を手に入れようとしたのです。
ここでひとつのアニメ映画をおみせしましょう。Meatrix(ミートリックス)です。

現実にどのようなことが起こっているかを描いた、ドキュメンタリー性の高い作品です。

大量の食肉が生産され、人々はたくさん消費します。明らかに過剰です。

過剰な消費をつづけ、私たち人間は多くの土地を占領し、他の生き物の土地がどんどん減少しています。

アマゾンで栽培されている大豆、さとうきびなどはバイオエタノール燃料になります。

私個人としては、遺伝子組み換えの大豆に対して不信感を持っています。
遺伝子組み換えとは、組織を組み換えるわけです。組織が本来持っているDNAを組み換えるということです。DNAを不正に組み換えるとどうなるのでしょうか?

子どもたちのことを考えてみてください。食べるものは子どもにも影響を及ぼします。将来、どのようなことが待ち受けているか、誰も知りません。

何か新しいことをするときにまず考えなければならないのは、将来の子どもたちに悪い影響を及ぼすことはしてはいけない、ということです。
どのような結果になるかがよくわからないなら、すべきではないのです。

しかし、企業はそうしたことには関心がなく、儲けることしか考えていません。科学者と企業は、深く考ずに協力しています。

私たち自身が加害者であっても、それがよく見えていません。目に見える形になっていないのです。苦しめていると感じることもあまりありません。でも、大きな規模で、長期間にわたって、わたしたちは殺しつづけています。

夜中でも電気で煌々と明るいという状況はどこか間違っています。私たちは、紙やプラスチック、水などたくさんのものを使いすぎています。

なぜ、こうしたことについて考えなければならないのでしょうか?

私たち人間は、iPodが欲しくなり、働いてお金を稼いで買うでしょう。悪いことではありません。そのうち、車が欲しい、家が欲しい、とどんどん欲深くなります。誰にでもこういうことが起こります。

女性も同じです。一般的に、女性は購買力が旺盛です。多くの女性が、洋服や化粧品が欲しくなると認めています。テレビで、スーパースターがルイヴィトンのバッグを持っていたら、それが欲しくなるのは普通です。

最終的には、お金が欲しいのです。お金があれば、あらゆるものが買えます。新しい洋服を買うにも、ダイヤモンドの指輪、化粧品、バッグを買うにも、お金が必要です。

これが人生です。でも、考えなければならないことがたくさんあります。

人がモノを欲しがるのは、広告の力が大きいといえます。広告に踊らされているのです。
ちょっと想像してみてください。全ての人が全て同じように操られ、女性も男性も全ての人が同じ商品、同じカラーを求めたら、どうなるのでしょう。お金が欲しい、車が欲しい、化粧品が欲しい、とみんなが言ったらどうなるでしょう。

人口のお話しをしましょう。1万年前、マンモスしかいなかった地球ですが、その後、人口が増えつづけています。20世紀に急増し、現在、非常に高いレベルに達しています。

この地球に暮らす人間のために、多くの食糧、多くの水が必要です。家、土地も必要です。人々が生きるためには、食糧を育てる土地や水、家を建てる土地、が必要です。人間だけでなく、動物も水が必要です。

ここで、映画「コーポレーション」を観てみましょう。

この映画は、企業がどのような行動をしているか、心理的に分析しています。企業家は、いかに人々の心に入り込み、いかに他企業に介入するかと、心理操作しています。

ここで重要なのは、マスメディアがいかに人々を操作しているかです。人々はマスメディアに洗脳されがちです。たとえば、サッポロファクトリーでセールがはじまる、とTVで紹介されたら、サッポロファクトリーは人であふれます。新しくオープンしたカツ丼屋がおいしい、と報道すれば、翌日は行列ができます。

マスメディアは人々をコントロールします。マスメディアは、「たくさん働き、たくさん稼ぐのが良い」と伝えます。こうしてマスコミに操られ、誰もがお金を欲しがるようになるのです。
ヨーロッパの湖の写真をお見せします。農場用水に水を引いたために、完全に干上がっています。これに対し何の解決策もありません。

インドネシアの森林では、ヤシの実オイルの工場のために、ヤシの木が伐採されます。

こうしたことが、世界中で起こっているのです。一部だけの問題ではないのです。

これは絶滅した動物たちの写真です。これらの8種の動物は、もはや地球上に存在しません。カロライナインコは完全に全滅しました。タイ鹿、日本狼、日本アザラシ…。どんなことをしても、これらの動物は戻りません。気づいたら手遅れになっています。

タスマニアタイガーを撮影した、短い映像をお見せしましょう。

この動物は1950年代に絶滅しました。これは最後の映像です。動物の世話人が撮影したのですが、世話をするといっても、動物は刑務所のような檻に入れられています。タスマニアの気候は日中非常に暑く、夜は非常に寒いため、動物は死んでしまいました。

私たち人間は、この動物を再び創りだすことはできません。自分の子どもがこの動物を見たいといったら、この映像でしか見せることしかできません。

私たちは、エネルギーを消費しています。これがキーポイントです。環境問題だけでなく、経済問題も理解しなければなりません。エネルギーは経済的な問題と密接に関連しているのです。

これは、世界の夜の写真です。白いところは電気がついているところです。

引用:NASAホームページ

夜中ですから、人工的な光です。エネルギーを消費している国はどこでしょう。

ここには国境があり、アメリカとカナダが隣接しています。ヨーロッパに目を移すと、フランス、その隣のドイツ。ブーツのような形のイタリア、それからイギリス。この広大な一帯はロシアです。忘れてはいけない小さな国が日本。これら8つの国は、まさにG8です。

それから、インド、中国、メキシコ、ブラジル、南アフリカ。G8の仲間たちです。これらの国がすべて、洞爺湖に集まります。

エネルギーの消費はガソリン、石油などの価格に大きく影響し、重要なカギといえます。

興味深いレポートを紹介します。地球を何個消費したかを表しています。

地球の代わりに、リンゴで考えてみましょう。1961年には、1個以下のリンゴを消費していました。その後、人々はどんどん消費し、リンゴ1個分食べ終わってしまいました。

それでも消費はつづけます。2020年には、1.8個のリンゴが必要になります。

地球はリンゴではないので、もうひとつ存在しません。1.8個の地球を消費するのは不可能です。

グローバリゼーションについては、お金や経済のことだけで語られますが、それはひとつの側面でしかありません。あらゆること、あらゆる人、あらゆる経済システム、こうした全てを含めて考えるべきです。特別な国だけを対象にしてはいけません。

たとえば、14個のリンゴのうち、8つの国とその仲間たちで12個を独占したとします。思い出してほしいのは、自分たちがリンゴを食べることで、他の人たちが食べられなくなっている、という事実です。

ここで、人を操作することがどれほど恐ろしいか、映画で紹介します。「ショック・ドクトリン」という短編で、ナオミ・クラインの同タイトル小説を映画化したものです。演出は、メキシコ人のオスカー受賞監督アルフォンソ・キュアロンです。

 

この作品は、本当に衝撃的です。何が起こるかわからず、何をしていいのかわからない状態では、思考が停止し、決断できない。それを描いています。

大手マスメディアは私たちをつねに恐怖に陥れます。私たちを煽って、恐怖をかきたてるためです。これを操作といいます。

アメリカは、大量破壊兵器を理由にイラクへの攻撃を開始しました。アメリカは大量破壊兵器に恐怖を抱いていましたが、この地図を見てください。

アメリカが所有する原子爆弾の数は莫大です。核兵器の開発をしています。イギリス、フランス、ロシア。日本以外のG8の国の多くが武器を持っています。

日本は技術的な面で武器を作る支援しています。技術は進歩していますが、武器生産に使われると、地球を破壊することになります。

私たちは別の地球を持ち合わせていません。移住する別の地球はないのです。
私たちはここに住むしかありません。

 

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