どこまで安心なのかわからない放射線量

省庁のサイトをいろいろ見ていたら、「日常生活と放射線」(PDF)へのリンクが8回も出てきた。
ちなみに、省庁のサイトはリンクが張りめぐらされ、何がなんだかわからないぐらい複雑。
それらをまとめてみると、情報量はそれほど多くない。ごまかされている感じ。

この「日常生活と放射線」は、テレビや新聞でよく出てくる図式。
医療も自然放射線も、一般市民も放射線関係の従業員も、いっしょくたにして、「ここまでは大丈夫」と安心させようとするもの。
でも、これを見ても、本当に安心なのかはわからない。

放射線医学総合研究所でも、「放射線被ばくの早見図」(PDF)を公開している。
「福島第一原発事故による放射線量の目安」では、放射線(ヨウ素131)で汚染された水・牛乳・ほうれん草、そして大気や大地からの放射線量を、それぞれ1ヶ月被ばくした際の線量が記されている。
それぞれの数値は小さいが、すべて併せると、0.42mSvになり、これを1年つづけたら、5.04mSvになる。
水・牛乳・ほうれん草は、1回の食事にどれか1つしか飲食しないとはかぎらない。
それぞれの数値が小さいから安心、というのは非現実的。(料理をしない人が考えたのかも)

放射線影響協会の「放射線の影響がわかる本」(ダウンロードできる)によると、2000年版なので少し古いデータだが、日本人のひとり当りの年平均被ばく線量は、自然放射線が1.5mSv、医療放射線が2.25mSv(日本人は胃のレントゲンを撮る回数が多いため、世界平均より多いそう)だという。
すでにこれだけは被ばくしているのだから、「それにプラスされることで、どうなのか?」を知りたい。

上記の本の「日本人が受ける放射線の線量」では、医療2.25mSv、大地からの放射線0.38mSv、宇宙線0.29mSv、食物0.41mSv、ラドン0.40mSv。その他、航空機利用、職業、一般消費財等、フォールアウトが微量で、原子力施設関連は、0.0000086mSv。

フランス原子力安全局の「放射線防護パンフレット」では、フランス人の年平均被ばく線量は3.4mSvで、その内訳は、ラドン37%(1.258mSv)、大地からの放射線12%(0.408mSv)、宇宙線10.5%(0.357mSv)、食物10.5%(0.357mSv)、医療放射線28.5%(0.969mSv)、そして、原子力産業・研究・軍事活動1.5%(0.051mSv)。

日本は軍事活動がないとしても、原子力施設関連の数値(0.0000086mSv)は、フランス(0.051mSv)と比べて少なすぎて、あまりにも怪しい。

数値を並べるだけでは、あまり意味がない。
モニタリングをして、データがあるのなら、それを実生活(この場合は、私たちの暮らしの安全)に役立ててほしい。
データを隠してたとか、それも問題だけど、そのデータをどう活かして人々を守るべきか、そちらを優先して議論したほうがいいと思う。

 

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