2011年3月20日フランス各地で反原発集会

フランスの“脱原発”ネットワーク(Réseau “Sortir du nucléaire”)は20日(日)15時(日本時間22時)に、全国各地で「原発:私たちが選択したい」集会を開催します。
日本の犠牲者を追悼するとともに、フランスの原子力政策を考える集会で、賛同団体は、アソシアシィオン(NGOや市民団体)、労働組合、政党など60団体、および、アーティスト、個人など。

パリの集会場所は、国民議会(Assenblé nationale)前。

この集会に先立ち、60の団体が、政府に対し公式アピールを発表しています。

原子力:私たちが選択したい!

日本での原発大事故を受けて、フランス政府への公式アピール

日本の人々は現在、史上最悪の悲劇に直面しています。人道的、保健衛生的、経済的に重大な影響を及ぼす自然災害。そして、大規模な原発災害。

現時点で、炉心の部分的溶融が3つ、使用済み核燃料の火災が2つ、水素による爆発が5つ、福島第一原発で起こりました。3月11日の地震と津波以来、大気や周囲におびただしい量の放射能物質が放出されています。炉心の完全溶融、さらには大量の放射能漏れをともなう爆発も否定できません。一貫性のない矛盾した情報からさえも、私たちがこれまでに経験したことのない重大な状況に直面していることを予感できます。

日本はすでに憂慮すべき状況で、刻々と事態は悪化しています。現場の日本人作業員は、これ以上最悪な事態になるのを避けようと、命を犠牲にしています。

大災害がつづいている間にも、多量の放射能物質が大気や海に放出しています。福島第一原発から100km以上離れた場所で、平常時よりも数倍も高い放射線量がすでに測定されました。現時点でも大気汚染は日本の広い範囲で検出され、それは日本国中、さらには他の国へも広がるでしょう。

私たち、アソシアシィオン、労働組合、政党は、日本の人々、なによりも命を賭けて事態悪化を避けようとしている原発作業員に、連帯を表明します。

こうした危機的状況が私たちに気づかせてくれたのは、原子力というエネルギーは、きれいでもなく、安全でもなく、気候変動を防ぐ重要な施策でもないということ、そして、原子力関連企業の存在するいたるところで、そこに住む人々や作業員に非道なリスクを強いているということです。しかも、原発は老朽化しており、福島第一原発の1号機は明らかに先月までに停止しなければならなかったはずであるのに、10年間の運転延長が決定されたところでした……あまりにも悲劇的な選択です!

原発大事故のニュースは、再び今、あらゆる原発施設に危険性が内在しており、安全神話や原子力の安全性が明らかに否定しがたいほど間違っていたことを示しています。

日本における原子炉の異常に対し、人間は悲惨なまでも無力です。このことで、多くの国(ドイツ、スイス、インド、アメリカ…)では即座に原発への疑問が持ち上がりました。

フランスでは、エネルギー政策はつねに、民主的な議論をされることなく、なかでも特に、原子力発電関連産業の開発については議論されません。国のトップたちだけで決断がなされ、国民全員の将来に関する問題であるにもかかわらず、市民は一度も相談されたことがありません。

原子力産業とそのロビーが完全に独立し、フランスのエネルギー・モデルについて本質的な議論を政府が開催するまでに、さらなる原発事故を待たなければならないのでしょうか?

石油資源の欠乏が増すなか、原発を認めない(ことで起こる電力不足の)リスクや、温暖化を防ぐための二酸化炭素排出量の減少の必要性という問題に立ち向かうために、今、もうひとつの解決策が存在しています。それは、節電や効果的なエネルギー利用、新エネルギーの開発により、消費を減らすことです。こうしたエネルギーの転換は避けられません。そのあり方や計画には、民主的な市民を交えた大議論の開催が必要です。

サルコジ大統領は、フランスは日本の事故の結果から教訓を引き出さなければならない、と発表しました。その演説の言葉を今こそ利用していきましょう。

原発:私たちが選択したい!

私たち、アソシアシィオン、労働組合、政党は、フランス政府に対し、公式にこれらのことを要求します。

・進行中の原子力発電計画(フラマンヴィルのEPR<1>、コタンタン-マンヌの超高圧送電、パンリィのEPR、ITER<2>、ブールへの原子力発電産業で産出される放射線廃棄物の貯蔵センター建設など)を市民との協議で決定するまですべて中止すること。市民はこれまで、フランスのエネルギー政策と原子力エネルギー依存に関して民主的に意見を述べることができる状態になかった。決定手段のなかには、必要であれば国民投票も含む。
・開始から30年以上経過している原子炉の運転延長の廃止。
・フランスの原子力産業が関与する海外での原子力計画をすべて完全に中止すること。

日本の状況は、国がこうむる惨劇、原子力産業が人々に押しつけている永遠の脅威について、黙っていてはいけないということを教えてくれています。フランスのように、日本で。

私たちは、2011年3月20日(日)15時からフランス全国で集会を開催し、すべての市民に、日本の人々と連帯するためにデモを呼びかけます。そして、原発依存とエネルギー政策への問題の共有を呼びかけます。

訳注
<1>ヨーロッパ加圧水炉:第三世代の原子炉、フランスの原子力企業Averaが開発
<2>イーター:国際熱核融合実験炉、フランスのカダラッシュに建設予定。日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドが参加。文部科学省のHP参照

 

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