西洋庭園1:チェルシー・フラワー・ショー(ロンドン)

ロンドンで毎年5月に開催される園芸の一大イベント、チェルシー・フラワー・ショー。

日本でガーデニング・ブームの兆しがみえはじめた1992年5月に訪れました。

地下鉄スローン・スクエア駅から会場への道は人であふれ、まるで大物スターのコンサートが開催されるかのよう。

イギリス人のガーデン好きは知っていましたが、まさかこれほどまでとは思いませんでした。チェルシー・フラワー・ショーを訪れる人の数は、半端ではありません。

会場内も熱気ムンムン。

まずは、アマ&プロ園芸家の植物デコレーションを展示したパビリオンへと向かいます。

巨大テントの中は、色鮮やかな花、花、花。

140点ほどの作品が並んでいます。
花、フルーツ、野菜などを使った、自由奔放な装飾。

日本風アレンジのブースも人気でした。
100年程前に盆栽が初めて紹介されて以来、ジャパニーズ・スタイルは注目されているそうです。

さらに、屋外に造られた庭園、教育機関の展示コーナー、園芸用具の展示販売、レストランがあり、バンド演奏も行われます。

国立園芸協会が主催するこのイベントの歴史は、地元の園芸家が、国立チェルシー病院で花の展覧会を開いた1912年にさかのぼります。

これが大成功し、毎年ショーが開催されることになりました。

人気は高まる一方で、混雑を避けるために前売り券を販売し、入場者数を制限しています。海外からは毎年2万5千人が訪れるそうです。

チェルシー・フラワー・ショーは、最新の園芸情報を発信する先駆者的な展覧会です。

最近では、花粉症対策を目的とした低アレルギー・ガーデンを造ったり、ファッションでおなじみのシャネルが出展するなど、つねに新しい庭園スタイルを提案しています。

近年、園芸への関心はますます強くなっているが、ガーディニングは、今に始まったことではありません。

人は家を持ち定住したときから、庭を造り始めたといいます。
人間は、好きな植物を栽培し、自分の望む形に植え変えることで、自然を思いのままにコントロールしようと試みたのです。

ギリシャ・ローマ時代から、庭園は芸術的、哲学的な意味を持っていきました。

古代ギリシャでは、果樹や野菜を栽培する実用園が、次第に装飾園に代わっていったのです。
個人宅には柱廊中庭が造られ、屋上庭園のようなものも存在していたといいます。

特徴的なのは、アゴラなど公共庭園が出現したことです。

その文化を受け継いだ古代ローマでは、住宅庭園が発展を遂げます。
典型的な大邸宅は、四角形を組み合わせた構造で、それぞれの中心に中庭を造りました。

玄関を入ると、多数の居間に囲まれたホールに出ます。
天井の中央には大きな天窓があり、地上には、タイルでモザイク模様に舗装した床と四角い池を設けます。

また、柱廊で囲んだ露天の中庭には、中央に置かれた大理石の水盤から園路を延ばし、ギリシャ彫像や植物を飾りました。

ローマ人は、庭園文化をヨーロッパ各地に伝え、彼らが持ち込んだ果樹や食用野菜は、その地で積極的に栽培されていきます。

もちろん、その土地の風土や習慣に合わせ、原型のローマ庭園は変化していくことになったのです。

庭園には、そのときどきの思想や風習が映し出されています。
建築様式やライフスタイルの変容に合わせ、庭園文化も過去から現代へと移り変わりました。

自然と人間との関係は大きく変化しました。
しかし、人々の庭園への熱い思いは、いつの時代も変わることはなかったのです。

(2013-08-25 08:28:46)

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