イギリス反核団体CND(核軍縮キャンペーン)を訪ねた

2011年10月、アポなしでCNDを訪問。
アン・シュルティスさんが対応してくださり、お話をうかがいました。

 

CND(Campaign for Nuclear Disarmament )は、核に関する5つのキャンペーンを行っています。
メインのキャンペーンは、イギリスの核兵器に反対するキャンペーンで、これが現在一番力を入れているキャンペーンです。
国際的な核兵器の解体、アメリカの核ミサイル、NATOなどの問題にもたずさわっています。冷戦の時代から、NATOとアメリカの核兵器、イギリスやその他のヨーロッパ諸国とは親密な関係があるからです。
さらに、原発問題もやっています。原発は核兵器とむすびついていて、しかも、環境問題とも関係があります。福島原発事故後、私たちは原発問題のキャンペーンを強化しました。

3.11以降、イギリスでは、原発に関するレポートが今週報道され、イギリス国内のすべての原発は問題ないといっていました。政府はそのレポートのなかで、「福島原発の事故はあったが、イギリスのすべての原発は安全であり、イギリスは日本とは状況が違って問題はない」と発表しています。

イギリスの原子炉のなかには30年ぐらい稼動しているものがあり、運営会社はフランスのEDFで、現実的にはイギリスのものではありません。
放射性廃棄物に関しての多くの議論もあります。

私たちはいま、新たに建設されようとしている原発を阻止しようとしています。
先週は、サマセットのヒンクリー・ポイント原発でのバリケートを組織しました。
いくつもの小さな反核団体の集団No New Nuclearというグループと一緒に現地に行き、300人近くが集まりました。
ヒンヘンクリー・ポイントは新しい原発が建設されようとしている一番の候補地だからです。原発は過疎地に建設されることが多いのです。

ロンドンでは、福島第一原発事故の後の3月にデモを行いました。
200人ほどが参加したと思います。
チェルノブイリ事故から25年の4月にもデモを行いました。

イギリス人も原発について気にしていると思います。
多くの人が、脱原発に賛成で、再生可能エネルギーを進めるべきだと考えていると思います。
また、核兵器に焦点を当てて活動している人たちの多くが、原発と核兵器がどのようにむすびついているか知っています。
私たちは核兵器反対だけに集中するのではなく、原発反対キャンペーンもたくさん行ってきました。
そうすることで、このふたつが非常に密接にむすびついていることが理解できます。
イギリスの核兵器は原子力潜水艦なので、この潜水艦が航海中に事故を起こすと、核ミサイルや原発の起こす事故とほとんど同じなのです。それを放っておくことはできません。

広島の原爆を忘れないように、私たちは毎年活動を行っています。
年配の世代、戦争体験者のかなり多くが、広島の原爆についてとても深く考えています。
その一方で、原爆の記憶を持たない人々のなかには、この問題にほとんど興味もない人々もいます。
私たちは、広島原爆から55年の年に、ロンドン中心で展覧会を開きました。
広島の平和博物館から借りた写真や、彼らや市民団体が入手したあらゆる情報を展示しました。
写真を観た人たちは、原爆の落ちた状況や現在までつづく被害などについて理解したと思います。
原爆の影響が長くつづき、人々が苦しんでいることなどを理解したと思います。

劣化ウラン弾の影響について活動している団体がイギリスにもあります。
劣化ウラン弾もまた、原発とむすびついていますよね。
イギリス政府はいまでも劣化ウラン弾の使用を認めています。
リビアで劣化ウラン弾が使用された証拠があるという情報もあります。
確信はありませんが、たぶん使用されたのではないかと。
イギリス軍もリビアに侵攻したので。

国際的なつながりとしては、フランスや日本と原発問題でともに活動しています。
アメリカやヨーロッパともつながりはありますが、主にイギリスの団体と活動しています。
毎年、広島と長崎の原爆の日に、日本でのノーモアニュークに行っています。

イギリスには、CNDのように原発問題について活動しているほかの団体がいくつかあります。
反核団体のInternational Campaign against Nuclear Weapon、その他のヨーロッパやオーストラリアの国際的な反核団体など。
それから、グリーンピース、フレンド・オブ・アース。

緑の党は反核ですが、労働党は違いますね。
何人かの議員は反原発で、反核運動に参加していますが、その他の労働党議員は原発推進派です。
わたしたちをそれを変えたいのですが。

自由民主党(Liberal Democrats)は原発に反対で、脱原発を求めています。
今のイギリス政府は自由民主党との連立政権なので、脱原発ができる可能性があります。
そして、緑の党もいます。

ドイツの決断はすばらしいと思います。
イギリスも同じ道をたどるべきです。
原発は地球温暖化に役立つわけではないし、将来の環境問題になにもいいことはありません。
私たちはドイツの決断を強く支持します。
そして、イギリスでのキャンペーンをつづけていきます。
難しいのですが、先週のヒンクリー・ポイントの原発建設反対デモには300人が参加しましたし、こうした活動をつづけていき、原発をストップさせたいです。

ヒンクリー・ポイントの抗議行動については、サマセットの地方新聞が記事にしました。
ガーディアン紙の記事にもなりました。
BBCの地方番組でも取り上げられました。
全国紙での報道ではなくても、いくつか報道されました。

脱原発できるかはわかりませんが、そうなると予想しています(笑)。
実現のためには、政府内にどれだけ脱原発の支持者を確保するかにかかっています。
現在はもちろん、政府内にそれほどいません。
どう支持者を増やすか?
キャンペーンをつづけ、原発と核兵器がどれだけ密接にむすびついているかを伝えます。
そして、原発を稼働する限り、環境や周辺に住む人々へのリスクをともなう、といったことを伝えながら、キャンペーンをつづけていくしかないと思います。

私がCNDに参加したのは、他の多くの人と同じだと思います。
核兵器は世界をさらに危険にし、世界平和を実現できない。
広島や長崎の被害はひどく、そうしたことが再び起こらないように人々は考えるべきだと思う。
イギリスのような先進国が、核兵器のようなもので他の人を脅かすのは恥ずかしいことだと思うから。

CNDは、平和教育もやっています。
学校を訪問して平和教育を行うセクションがあり、その担当者は、核兵器や広島・長崎の原爆について話します。
若い人たちは何をできるのか。
そうしたことを、ここで作成した教材などを使って教えます。

CNDの事務局は15人ほどですが、各地に33,000の会員がいて、それぞれがやりたい活動をしています。
地域ごとに地方のグループを作り、それぞれ活動しています。
ボランティアが活動を手伝ってくれます。
この団体はNGOですが、メンバーが自発的に組織していて、99%が個人として参加しています。
若い人もいますよ。地方には、23歳前後のCNDユースもあり、若者向けの活動をしています。
また、大学生によるCNDもあり、大学でグループを作っています。
若い人がどのくらいいるかは正確にはわかりませんが、若者たちがアクションを起こし、デモをしたり、フェスティバルをしたり、シンポジウムを開催したりしています。

(2013年11月1日)

イギリス政府が原子力企業に安全神話PRの協力を迫る

フランスの脱原発ネットワークにお話をうかがいました
2011年10月、フランスの脱原発ネットワーク(Réseau Sortir du Nucléaire)にお話をうかがった。1987年のスーパーフェニックス廃止を機に、原発施設立地の団体、核廃棄物処理に反対する団体などをむすぶネットワークが設立。

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