パリのインテリア素敵な暮らし(1996年)

『FRaU』1996年10月22日号に掲載された記事です。

フランス 光、色、形に自分の手を加えて、生活しやすい空間を創り上げる

手作り小物とユニークな発想で

パリ18区、アーティストに人気のモンマルトルの丘の麓に、ジュリアのアパルトマンがある。玄関を入るとリビング、そして小さなキッチンとベッドルームという、パリの一般的なアパルトマンの間取りのひとつ。少し残念なのは、一階のため、光があまり入らないことだという。

暗くなりがちな部屋を楽しく演出しているのが、鮮やかなレッドとブルーのインテリア。彼女の部屋は、まるでおもちゃ箱をひっくりかえしたよう。訪れた人を楽しい気分にさせてくれる。映画館のいす、パリの古いコイン式公衆電話、レターボックスなど、意外なものが彼女のアイデアで、個性的なインテリアに変身してしまう。

もちろん、これらはちゃんとお金を出して買ったもの。閉館する映画館が売りに出したいすは、5脚でたった50F(約1100円)。屋根裏部屋に眠っていた不用品を売り払うガーデンセールや道端で開かれるガラクタ市、モントルイユなどの蚤の市など、とにかく、まめに足を運ぶという。

また、個性的なインテリア小物のほとんどは、ジュリアの手づくり。彼女の得意とするのは、ランプシェイド作り。メタルやペーパーなど、様々な素材を使い、美しい光を出すランプを作り上げる。

面白いものを捜し出すセンスとユニークな発想から、安く手にいれたものを、素敵にインテリアに創り上げて快適に過ごす。これが堅実なパリジェンヌの部屋づくりのコツといえそうだ。

 

エキゾチックを取り入れて

古い館が数多く残るマレ地区は、ファッション関係者らに人気のエリア。マレが一望できる最上階6階に、デザイナーのジャミラは住んでいる。住居兼仕事場として、このアパルトマンを購入したのは3年前のこと。今後は仕事用にアトリエを確保し、プライベートライフのみの場となる予定だ。

玄関を入るとリビング、ダイニング、キッチン、中央のらせん階段を上がった2階は、寝室、トイレとバスルームという間取り。天井に木の梁があるパリの古い屋根裏部屋は、彼女自らの手を加え、モダンで快適な空間に改装した。暖炉周りのエキゾチックなデコレーションからスタートし、絨毯だった階段をカラフルなタイルに貼り替え、バスルームも同様に赤、黄、青など鮮やかなタイルで飾った。

ダイニングに並んだ様々なデザインのいすをはじめ、小物から家具まで、インテリアに関するものは、ほとんど全てヴァンヴの蚤の市で見つけたもの。月に2回ほど週末に蚤の市に出かけ、掘り出し物を探すのが楽しみのひとつだ。

子どもの頃から、バカンスは父親の出身地であるスペイン南部で過ごしているためか、ヨーロッパ南部やモロッコ風の雰囲気が好きだというジャミラ。インテリアにもそれが大きく影響している。また部屋のところどころに飾られたインドの布やポスターが、効果的なアクセントに。ヨーロッパ、イスラム、東洋の文化が調和した、新感覚のフレンチ風オリエント・ムードが漂うアパルトマンだ。

 

シンプルさが住む人を生かす

モンパルナス墓地の近く、閑静な住宅街にあるヴァネッサのアパルトマンは、天井まで続く大きな窓が印象的。新聞広告で探して最初に訪れたのがこの部屋で、見た瞬間に借りる決心をしたという。面積は120㎡ほどだが、天井の高さ、窓の大きさ、部屋の形からか、実際より広く見え、ゆったり安らぎを感じさせてくれる。

彼女にとって快適な部屋とは、まず、窓からの眺めがのびのびしていて、明かりが十分に入ること。そしてスペース。ただ広いだけではなく、どれだけ動いて使えるかが重要なのだそう。このアパルトマンは、1階がほぼ正方形のリビング、2階は彼女の仕事場と寝室とバスルームになっており、無駄がなく、バランスのとれた作りだ。

広々とした空間を思う存分活用するため、家具は最小限に抑えられ、いずれもシンプルなものばかり。ナチュラルな印象を与える彼女らしく、全体のトーンもアースカラーで統一している。庭園デザイナーである母親の影響もあり、日本の庭園にも興味があるというヴァネッサ。家具の配置、小物のディスプレイに、さりげなく”間”の美しさが現れている。

このアパルトマンは、仕事仲間が集まって仕事をしたり、友人とのパーティにと、多目的に使用されている。びっしり本や雑誌が並んだリビングは、くつろぎの場でもあるとともに、知的スペースでもあり、彼女の生活のリズムにぴったり合っているようだ。

 

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