『The Japan Times』2013年4月11日のオピニオン投稿に掲載された記事の邦訳です。
3月31日(訳注:2013年)に東京で開催された、朝鮮高校への高校無償化制度の適用を求める集会(訳注:「朝鮮学校はずしにNO!すべての子どもたちに学ぶ権利を!3・31全国集会」)には約6,000人が参加した。安倍政権は2月に、2010年4月に制定された高校無償化の対象から朝鮮学校を除外すると改定する省令(訳注:文部科学省省令)を施行した。自治体のなかには、すでに朝鮮学校への補助金支給を打ち切ったところもある。北朝鮮の核問題および日本人拉致問題が、その口実として引き合いに出されている。
すべての子どもは、学ぶ権利を保障されている。日本は、国連の「子どもの権利条約」に批准し、国連人種差別撤廃委員会は、この除外について懸念を表明している。
朝鮮学校の子どもたちはつねに、外交問題とは関係ないにもかかわらず、非難の的になっている。明治学院大学の鄭栄桓准教授は(訳注:講演で)次のように述べている。「日本は朝鮮学校を秘密結社とみなしている。これは、日本政府が理解する教育の意味がそのレベルであることを示している。日本の学校でさえ、政府寄りの教育方針を強いる当局の監視下におかれている」
朝鮮人強制労働者の遺骨発掘に参加した大学生は、在日朝鮮人の歴史についてほとんど学んだことがなく、日本のメディアの影響で悪い印象しか持てない、と打ち明けた。
この状況を悪化させている要因は、教育の根本的本質についての日本の間違った理解と、メディアの操作にあるといえる。
子どもたちは、生まれる場所を選ぶことができない。子どもたちの祖先の多くが、植民地時代に意志に反して日本に連れてこられたことを忘れてはいけない。子どもの学ぶ権利や過去の反省がないまま朝鮮学校を批判するのは恥ずかしいことだ。こうした無関心が、日本の偽りの民主主義国の事例として示される。
政治的意図丸出しの北海道朝鮮学校への強制捜査――マスコミ動員し差別を助長
金曜アンテナ『週刊金曜日』10月16日号