むのたけじさんの2014年都知事選の思い

むのたけじさんのお話を、1度だけ、間近でお聞きしたことがあります。
2014年2月3日、「原発都知事一候補に統一を呼びかける会」の記者会見。

99歳でいらしたけれど、ときどき手を振り上げ、力強い声で語られました。
そのお姿に圧倒され、強烈な印象となっていまでも残っています。
あのとき、直接お目にかかれてお話が聞けたこと、とても幸運でした。

あの日、「ジャーナリズムの道を歩んで78年目」とおっしゃい、「会場においでになっておりますマスコミ関係の方々にお願いいたします。ぜひ、こういう動きがあるということを、日本人に広めてください」と訴えられました。

が、あの席にいた記者たちの多くは、パソコンの打ち込みに一生懸命で、むのたけじさんの表情や手振りを見ていなかったのではないかと思います。
翌日の新聞やテレビではほとんど報道されませんでした。
このときの憤りは、こちらに書いてます。

あらためて、あの日のむのたけじさんのお話を書き起こしました。

動画でも観ることができます。
「原発都知事一候補に統一を呼びかける会」記者会見
(むのたけじさんの登場は25分25秒~35分45秒)

むのたけじさんのお話


この会場に社会党の関係者はいますか、いませんか?
共産党の関係者は? 労働組合の組織の方は? いませんか。
眼底出血で両方見えないもんだから。いないんですね。

これはおかしいなー、おかしいよ。この場にいないなんて。
会場に来たら、60年安保のことを思い出しました。
何十万の人間で国会議事堂を囲んで、それこそ岸(首相・当時)と反安保で闘うときに、労働組合、社会党、共産党が中心になって一緒にやった。
前代稀なる闘争だ、と言って。

ここにはこない。日本の運命がどうなるか。
何としてもここで、日本の路線を変えなければいかん。
その思いは共通しているんじゃないですか。

今日はたぶん、明治元年から146年です。半分にすると73年。
私は21から新聞記者として、ジャーナリズムの道を歩いて、今もまだ現役でやってますが、78年目だもんな。5年多いです。

その間に、民衆と支配権力と対立する闘いがいくつもあったでしょ。
全部、次々と負けてきた。

そして今日お話があったように、争われているものは、東京都知事の椅子ひとつですけれども、そこに込められた時代の問いかけというのは、第三次世界大戦を許すのか、原子爆弾の乱れ飛ぶ道を許すのか、それとも、それをきっぱりと断ち切って、人と人とが結び合う、そういう地球の状態に変えていくのか、という大事な大事な分かれ道だということは、みんな感じていると思います。

そういうときに、これまでこういう運動であまり動かなかった、特に文化人とか知識人といわれる人たちがやった。
これに対して、共産党や労働組合の反応が、現実今見たように、どの方もいないような状態。おかしくありませんか?

一番最初は、昭和22年のゼネラルストライキ。明治以来、はじめて日本の労働者が何百万結束してやるという。
その直前の1月31日に、米国の兵隊が武器で脅して、つぶしてしまった。

それから15年、無我夢中で働かなきゃ、日本で生きられないから頑張った。
そして、15年たった60年安保で、今言うような、すばらしい闘いをやったけれど、あれも、ポツンと消えちゃう。
後を継いだ池田隼人が、所得倍増だと言ったら、あれだけの闘いがコロリとひっくり返っちゃって、高度成長の日本に転換しちゃった。

以来、三里塚の空港反対闘争、ベトナム戦争反対、学園闘争。
闘いをやってきたけど、いつも民衆の側が負けてしまった。
息が切れちゃう。バラバラになる。そうじゃありませんか。

今度、この東京都知事選にからまる歴史の問いかけに対して、ここで民衆の側が一致結束し、戦争戦力とは違う、平和路線を貫いてがんばらなければいけない。
こういう動きがもう東京で出てきた。
なんとしてもここで統一して、勝って、日本の政治路線、経済路線を変えていかなければならん。

これもう、勝たなきゃだめじゃありませんか。
もうわずか、それこそ1週間足らずの時間しかありませんけれども、会場においでになっておりますマスコミ関係の方々にお願いいたします。ぜひ、こういう動きがあるということを、日本人に広めてください。
場所は東京ですけれども、日本中の波紋が東京に向かって集中してきて、はじめて統一がなるし、勝利もできるだろうと思います。

私の新聞記者としての経験から言えば、この統一工作がうまくいくかどうか、それはまず第一に、宇都宮さんと細川さんの二人で、やれるものならば、二人で抱き合いながら、「君がんばれ、引き下がる」「がんばるぞ」ということができれば、これが一番早い実り方だと思いますが、その可能性は見えませんね。
いろんな人々がいろんな話し合いをしていますが、これもどうも可能性が薄いようです。

私は、やはり、歴史の流れのなかからの、それこそ18、19世紀以来の政治経済の流れのなかで、今は転換点です。
ぎりぎりの所で、共産党と社会党が決断して、この情勢を変える。
これが決め手になると思うし、それが動かなければ難しいのではないかと思う。
それを動かすためのエネルギーを日本中から、たった数日でも湧き出るように、われわれもがんばるし、力を合わせてくださる方々に願いたいと思います。

年をとったら、ちょっとね、原稿を書いていても、話をしていても、ふっと、これから言うことは、私の遺言ですから読んでください、なんて、ふっと原稿に書いたりすることがあるんだけれども。
まあ、今年の1月2日から100年目を生きている人間だもんだから、喋っていることは遺言みたいなものでしょうけれども。

もしもこの計画がうまくいかなかったときの打撃はとても大きいと思います。
政党にとっては、思いもよらぬ破滅を招くんじゃありませんか。
この状況を人民の幸せのために、まとめる努力をしない政党は吹っ飛ぶと思います。

そういう意味で、本当に真剣に、私たち頑張りたいと思います。

遺言ですが、仮に我々のこの努力が実を結ばないことがあっても、実を結ばないことがあっても、日本の民衆の側、人民の側は、これから本気で動いていくという動きを感じます。

さっきもちょっとどなたかに申しましたが、マスコミ9条の会がこうして動きだした、と。
そうしたら、私のような老兵のところにまで、マスコミ現場で働く30代、40代の方々が、「もう黙っておれない」「老人たちが動いておる」と話をしに来ています。
そして、「自分の新聞じゃ、このままじゃだめだ。自分たちで動かさなきゃいかん」と言う人が、毎日ちょこちょこ来るようになりました。
もう動いてます。

そういう意味で、本気になって頑張りましょう。
そして、結果はどのようであっても、もし我々の願いが実を結んだのであれば、落合さんも言ったように、本当にみんなで力を合わせあう、これまでないような大きな連帯の動きを高めていかなきゃいかん。

もしもしくじったときは、ニコニコ笑いながら、すぐ次の努力をはじめていきたいと思います。
とにかく、一所懸命、死にもの狂いで、がんばろうじゃありませんか。
終わり。

(2016年8月31日)

 

 

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