浜矩子さん講演「原発は輸出財でありえない」

2014年1月31日に開催された、浜矩子さん講演会「貿易は平和のために 原発は輸出財ではありえない」(日本カトリック正義と平和協議会主催)の再録です。

浜さん曰く。「アベノミクスが大嫌い。この言葉をひとり歩きさせてはいけない」

そして、アベノミクスは、「何ノミクス」でもなく、「~ノミクス」と名づけること自体間違いである、とおっしゃいます。
その理由は、①人間不在であり、人間に目が向いていない、②グローバル時代との親和性が低く、相性が悪すぎる、から。

浜さんは、2013年6月5日の安倍総理の「成長戦略第3弾スピーチ」を聞き、「人間不在を発見」したそうです。

「このスピーチに、“人間”という言葉は1回しか出てこない。しかも、『人間洗濯機』というなかに使われているだけ」
「経済活動を営むのは“人間”だけ。経済活動が人間をいためつけ、人権を踏みにじっていいわけがない」
「経済が表に出ると、人間が引っこまざるを得ない。効率を上げるために、労働者の権利を踏みにじる」
「ブラック企業というが、『企業』として認めてしまうのではなく、『ブラック』でとめておいたほうがいい」

そして、こうしたものを「『経済活動』と呼んではいけない」と。
「経済活動は人間の礎になるものであり、そうでないものは経済活動とはいえない」

さらに、「経済と人間のゆがんだ関係を象徴しているのが、原発輸出である」と今回のテーマにつなげます。

貿易には、貿易に適した「貿易財」と、適さない「非貿易財」があり、原発はまさに非貿易財。
「非貿易財は、移動性が低く、環境適応力がなく、脆くて柔である」
ここで浜さん、ちょっと余談として、「腰が重く、応用が効かず、柔である」非貿易財と「日本の男性」の類似点を指摘し、会場の笑いをとりました。

浜さんは、インド系米国人経済学者ジャグディーシュ・バグワティー氏が考える「貿易とは戦争に対する最大の防波堤」を紹介し、「シェアという言葉の理解には、『市場占有率の奪い合い』と『分かち合い』があり、バグワティー氏の考える「貿易」は「分かち合い」にあると述べました。

次に、「グローバル時代との相性の悪さ」は、2014年1月24日の安倍総理の所信表明演説から読み取ったそうです。

「この演説の中に、繰り返しし出てくる言葉が“世界”(数えたら36回でした)、そして“成長”が3回」
「『世界制覇戦略』『世界一になる』といった登場のし方をしたが、これは、誰もひとりでは生きられない時代、相互依存度が高いグローバル時代と相性が悪い」

まさに、「富国(=アベノミクス)強兵(=憲法改正)」を意味し、「ボクちゃん一番イムズ」と浜さんは名づけられました。

さらに、放射能研究者として有名なマリー・キューリー氏の「人生で怖れるべきものは何もない。ただあるのは理解されるべきものである」に触れ、「原発関係者たちは、いかに理解していなかったか」を批判。

「理解していないなかで、商業活動や輸出をすべきではない」
「無知なる正義は平和をもたらすことはない」

「原発を輸出財としたら、貿易は平和の防波堤にはならない」と語りました。

 

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