「原発の芝居があるのよ」と、フランスのNGOの女性に教えてもらったのが、「Avenir Radieux, une fission français(光り輝く未来、フランスの核分裂)」。
2012年3月10日、アビニョンで開催された「フクシマデー」で上演されたのを観ました。
ニコラ・ランバールさん脚本・演出・主演の原発をテーマにしたひとり芝居。
照明とビデオのみの舞台美術のなか、チェロのソロ生演奏を入れ込み、フランスの原発の歴史をつづっていきます。
Mrビーンのローワン・アトキンソンにちょっと似ているニコラさん。
歴代フランス大統領や原発ムラの政治家や要人、公開討論の様子など、物まねでひとり何役もこなします。
3・11後、フクシマの原発事故も脚本に加えました。
50年代、フランスの政治家が原発政策を決断・推進するところからはじまり、アメリカ製原子炉の輸入、海外への原発輸出、そして、チェルノブイリや福島事故にいたるまで。
特にリアルなのが、イランの原発への投資に関する事件。
フランスでは知られた話ですが、1990年代に起きたフランス国内のイスラム過激派のテロは、原発と深い関係があるといわれています。
そうした深刻な話の合間に笑いを誘いながら、原発の問題点をえぐりだしていきます。
この芝居は、フランスのトリコロール(国旗)「青・白・赤」に隠された石油・原子力・兵器を描く3部作の2作目。
1作目の「エルフ、アフリカのガソリンスタンド」は、エルフ石油の運営からフランスの新植民地主義政策と汚職を明るみにさせています。
パリを拠点にしているニコラさんですが、フランス各地で精力的に上演会をつづけています。
醜いフランス原子力の歴史(上)
フランスの週刊紙カナール・アンシェネが昨年2011年10月に発行した原子力特別号に掲載されていた記事の抄訳です。<>は訳注。
1945年8月6日、朝8時15分、1350gの濃縮フランで作られた核爆弾が広島に落とされた。...
醜いフランス原子力の歴史(下)
フランスの週刊紙カナール・アンシェネが昨年2011年10月に発行した原子力特別号に掲載されていた記事の抄訳です。<>は訳注。
1974年3月6日、大それた出発
ジョルジュ・ポンピドー大統領は、息を引き取る3週間前...