北電のやらせ問題と3年前のプルサーマルのシンポ

現在問題になっているシンポジウムではないけれど、2008年6月1日に札幌で開催された「泊発電所のプルサーマル計画に関するご意見を伺う会」(主催:北海道)には参加した。
この日のことはわりと覚えている。

会が開かれることは、前日か当日に知ったような気がする。
誰かに教えてもらったのか、そのあたりは忘れてしまった。でも、とにかく急遽出席した。

開催されたのは、日曜日の夜7時から9時まで。
「ご意見を伺う会」についての説明で、「広く道民の声を聞くため」と言っていたが、日曜日の夜は、一般市民にとって出かけやすい日時ではない。
質疑応答で、そうした意見が出たのを記憶している。
原発事故で一番の犠牲になるのは子どもたちだが、日曜の夜に子どもを抱える母親がシンポジウムに参加するなど、託児所があっても難しい。
日程からして、道民の意見を反映するつもりはなかったのだろうと思う。

会場のホテルのホールに入ったとき、日曜の夜なのに身なりのきちんとした(背広姿)男性が多く、「主催者側の人が多いのかな」との印象を受けた。
反原発を訴えている知り合いにも何人か会ったが、その類の集会とはまったく違う雰囲気だった(当り前か)。

資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、北海道電力の代表者から「プルサーマル計画」について説明を受け、有識者検討会議と道民の意見の活用法についての話があった。
今、資料を読み直してみると、ギャグっぽい。

たとえば、「プルサーマル計画の安全審査(原子炉設置変更許可)について」の資料。

原子力安全・保安院とは
国民生活や産業活動に欠かせないエネルギー施設や産業活動の安全確保を使命とする国の組織です。

プルサーマルの安全審査のポイント
①制御棒の原子炉を止める能力は十分か
②ほう素の原子炉を止める能力は十分か
③出力が急激に変動したとき、うまく元に戻ろうとするか
④各々の燃料棒の出力の出方にアンバランスはないか
⑤燃料棒内に気体が異常に充満して燃料棒を傷めないか
⑥原子炉内が異常高温になったとき、燃料が溶けないか
⑦事故を想定した場合の発電所周辺への影響は
⑧MOX燃料の取扱や貯蔵は安全に行われるか

これまでにプルサーマルに関して許可した実績
沸騰水型原子炉(BWR) 東京電力福島第一原子力発電所3号炉
平成10年11月4日設置変更許可申請、平成11年7月2日設置変更許可

その他、資源エネルギー庁の「なぜ原子力を推進するのか?」や、北海道電力の「プルサーマルの必要性・安全性・経済性」といった資料を受け取った。
「有識者検討会議の検討方法とご意見の活用方法」という資料をもとに、プルサーマル計画の是非を問う今後のスケジュールについての説明があった。
資料や話からは、道民の意見が反映される風であったが、実際に2回有識者検討会議を傍聴したところ、すでに結果ありきで、意見などまったく参考にするつもりがないことは明らかだった。

今問題になっているシンポジウムのひとつ、岩内での開催結果が第8回有識者検討会議の資料のなかにあった。
シンポジウムは、有識者検討会議の中間取りまとめから最終取りまとめの間に行われた。
岩内での開催日は2008年10月12日(日)の午後1時から6時。
参加者は、岩内会場が381人、札幌(映像配信)が88人、インターネット中継アクセス数が155件。
アンケート結果として、アンケート回収数が、岩内173(45.4%)、札幌64(72.7%)。
全体的な感想について、良かった46%(良かった26%、まあまあ良かった20%)、普通18%、良くなかった32%(あまり良くなかった10%、良くなかった22%)。
疑問を十分取り上げられたか、そう思う49%(そう感じる22%、だいたいそう感じる29%)、どちらともいえない14%、そう思わない32%(あまりそう感じない11%、感じない21%)。
「プルサーマル計画にかかわる理解は深まったか」の質問に対し、深まったが72%(実数168)!
内訳は、深まった35%(82)、だいたい深まった20%(48)、少しは深まった17%(39)。
深まらなかった人は25%(60)で、あまり深まらなかった6%(15)、深まらなかった19%(45)。

泊原発でプルサーマル計画が浮上したのは、2008年4月。洞爺湖G8サミットの直前にはじまった。
今考えると、おかしなことばかりだ。
なによりも、プルサーマル計画はさほどメディアを騒がせなかった。
原発に関して、一般の人はいまほど関心も示さなかったので、あっという間に決ってしまった。
あらためて議論の機会が与えられたのだから、今度こそ、きちんと道民の声を反映すべきだと思う。

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