フランスのアルノー・モントブール生産復興大臣(原子力も担当)は先週の日曜日(8月26日)、「原子力は将来性のある産業」と発言。マニュエル・ヴァル内務大臣もその翌日、「モントブール大臣の主張は正しい」と肯定した。
それに対し、欧州エコロジーみどりの党のドゥニ・ボパン国民議会副議長は、「現実とまったくかけ離れた態度表明」と批判。
社会党と欧州エコロジーみどりの党は連立の合意をしているが、原子力政策に大きな相違があることが明らかになった。
モントブール大臣の発言に先駆けて、フランスは日本に“原子力”外交を積極的にしかけている。今年5月20日のNATOシカゴ首脳会合では、ローラン・ファビウス外務大臣が玄葉外務大臣と会談。ファビウス外務大臣は、日仏関係を“これまで最高の水準に高めたい”との意向を示した。原子力・エネルギーに関しては、「フランスは2025年までに原発依存度を75%から50%に下げる方針に変更はなく、向こう5年間に一つ廃炉にする。日仏両国はお互いに高い技術水準にあり、原子力のみならず、省エネも含めエネルギー協力を実施していけると考える」との旨を述べた。
ファビウス外務大臣は、7月7日にアジア訪問の最初の国として日本を訪問。玄葉外務大臣と外相会談を行った。ここでも、「特別なパートナー関係」構築のための協力を実現したいと述べた。この協力で強い期待を示しているのは、環境・原子力を含むエネルギー分野。 “原子力を含む”の部分はフランスでは報道されたが、日本の外務省のホームページには記述されていない。また、フランスのレゼコー紙によると、「ファビウス外相は、『日仏“5年パートナーシップ”計画に来年署名する』と発表」したという。
ファビウス外相は、経済金融大臣時代に、巨大原子力産業アレバを創設(2001年9月)した人物でもある。
中国やインドよりも日本との経済協力を強化するフランス。その重要な目的は、“原子力”に関連しているのではないか。
日本に参入している有望なフランス企業のひとつに、自治体向けの下水道サービスなどを行う世界最大手の水道事業会社ヴェオリア・ウォーターがある。10年前に日本法人を設立し、広島では2006年から、京都は2009年から水処理サービスを供給している。今年2月には、広島と京都の排水処理契約を更新。松山では、日本では初の飲料司教旧契約を結んだ。
昨年、福島第一原発にフランスから提供された汚水処理システムは、アレバがヴェオリア・ウォーターと共同で開発された。ヴェオリア・ウォーターの汚水処理技術は、アレバが運営するラ・アーグの再処理施設やMOX燃料工場のあるマルクールなどの原子力関連施設で導入されている。
モントブール大臣の「原子力は将来性のある産業」は、日本との緊密な“原子力”パートナーシップを視野に入れた発言ともいえる。
レゼコー紙「ファビウス外務大臣が原子力協力を再開へ」
ルポワン誌「原子力、モントブールにとっては“将来性のある産業”」
福島第一原子力発電所:アレバとヴェオリア・ウォーターのシステムが、汚染水処理に貢献