トルコ ネチっこく奮闘 ブラジル戦 W杯 2002

『北海道新聞』夕刊 「ビバ!サッカー」(2002年6月27日)に掲載された記事です。

応援するチームがあるのとないのでは、サッカー観戦に対する気合の入れ方が違ってきます。
ブラジルとトルコ、どちらを選ぼうか。
両国ともそれなりに愛着を感じているので、迷ってしまいました。
なぜなら、外国で初めて友だちになったのがトルコ人なら、海外生活最後に親しくなったのがブラジル人。
ちなみに、そのブラジル人は、サッカーに全然興味がないという珍しい女性。
母親はサッカー好きだけど、フランスのジダン・ファン。
決めかねたので、客観的に観ることにしました。
ブラジルとトルコはかなり硬派だし、ミーハ-に騒ぐ必要もなさそうです。
この2チームには、ネックレスやピアスを装着している選手がほとんどいません。
昔懐かしい体育会系男たちの戦いです。
そして、なぜか大吾郎ヘアが二人(ロナウドとイルハン)。これは、お笑い系を狙っているのかしら?
しかし、外見は飾り気がなくても、卓越したテクニックはため息ものです。
人々を引き付けるのに十分すぎるほど素晴らしい。
曲芸師のようなプレイに、この日もみせられてしまいました。
シナリオなどあるはずないのに、上等のショーを演じているみたいでした。
ところで、トルコの粘り強さと絶妙な動きから、ある記憶が鮮明によみがえってきました。
ロンドンのトルコ料理レストランでのことです。
キラキラのセクシードレスを身につけた豊満な女性がベリーダンスを踊り出したとたん、客のトルコ人男性たちが豹変したのです。
おひねりを手に浮かれ騒ぐ姿は、表現不可能な妖しさでした。
そのときのムンムンとした熱気は、選手たちのネチっこいプレイにも感じられました。
暗そうなハカンシュキュルや森島似のバストゥルクも、はしゃぐのでしょうね。想像するのは少し怖いけど…。

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