『北海道新聞』夕刊 「ビバ!サッカー」(2002年6月8日)に掲載された記事です。
5月31日の開幕以来、筋書きのないゲームが繰り広げられているW杯。
でも、今夜は少し違います。
イングランド対アルゼンチン戦は、まさに大河ドラマ。キックオフ前から物語は始まっていたのです。
W杯5回目の対戦となる今日のタイトルは、「闘将の雪辱」。
前回は、老獪なシメオネの挑発に乗り、若く無垢なベッカムがレッドカードを受け、退場してしまったというお話しでした。
アルゼンチンの勝利で「つづく」となり、その先を楽しみにしていたのです。
復しゅうか? 度肝を抜く展開になるのか?
役者に不足はありません。
シメオネはしぶとく健在。
大人になったベッカムは、骨折というヒーローにふさわしいエピソード付きで登場。
脇を固めるバティストゥータやオーエンのからみも気になります。
豪華キャストで贈る対決が、いよいよスタート。
なんだかアクション活劇を見る気分です。
でも、予想に反して、荒れた戦いではありません。一点が欲しい両チームによる必死の攻撃。
流れを変えたのは、前半39分ごろから開始されたベッカムの敵討ち。
まず肘鉄でキリゴンサレスに鼻血。その数分後、PKでゴールを決め、晴れ晴れした顔で雄たけびです。
ハーフタイムに入るとき、シメオネと握手するベッカム。これで爽やかに和解成立かな?
後半は、野獣となったアルゼンチンが攻めまくり、イングランドは足元フラフラ。
かなり危なげでしたが、守り通して勝利を手にしました。
それにしても、和気あいあいとユニフォーム交換した選手など、一人もいませんでしたよね。かなり恨みは根深いのかしら。
両雄が決勝トーナメントに進んで勝ち上がれば、6月26日の準決勝で再び相まみえます。
物語の続きを、今回の大会でぜひ見たいものです。