パリの店:お茶専門店 Les Contes de Thé

『専門店』「世界の専門店拝見 こんな店・あんな店」2002年7月号に掲載された記事です。

パリではここ数年、お茶がブームになっている。いたるところにサロン・ド・テ(ティールーム)がオープンし、午後のお茶を楽しむ人でにぎわっている。

お茶が人気になった理由は、体にいいからだそう。ギョクロ(玉露)という日本風緑茶も健康志向から愛飲されている。

今回紹介するのは、お茶の専門店「レ・コント・ド・テ」。ここで働くマルレーヌ・ウルトマットさんにお話をうかがった。

-とてもかわいらしいお店ですね。

この店は、お茶に強い興味と情熱を持っているクリスティーヌ・ダットネがはじめました。

-お店がオープンしたのはいつですか?

16年前です。

-パリに支店はありますか?

いくつかのショップで商品は販売していますが、お店はここだけです。この店はショールームのような役割もしています。他のお店で販売する場合は、ここで勉強してもらっているのです。

-お店の名前は「お茶のおとぎばなし」という意味ですね。

そうです。クリスティーヌが、コント・ド・テという素敵な名前をつけました。なぜなら、おとぎばなしのように、お茶にはそれぞれのお話があるからです。

-確かにお店はファンタジックな雰囲気ですね。

お客さんを歓迎する入口から、かわいらしい名前のエスプリが感じられるよう工夫しています。お店のカラーは、アーモンド色とバイオレットで統一し、小さな傘のランプシェードで飾っています。小さな店ですが、とても愛らしい雰囲気でしょう。

-何種類のお茶があるのですか?

約120種類のお茶があります。中国、日本、インドなど、いろいろな国のお茶がそろっています。エキゾチックなムードが漂っているでしょう。

-プレゼントを買いに来る人が多いのですか?

そうですね。お茶と関連したかわいいもの、というコンセプトで、プレゼントにふさわしい商品をオリジナルで作っています。空のお茶箱に、好きなものを詰めることもできますよ。ポケットのついた袋は、お茶やお砂糖などを組み合わせるとかわいいでしょう。グリーン、イエロー、レッド、バイオレットの袋入りの紅茶は、プレゼントに最適です。

-お茶以外にも、ティーカップやポットなど、いろいろありますね。

その他、カップ、ナプキン、エプロン、お盆などです。

-変わったポットもありますが。

ティーポットは、イギリス、日本、中国、ロシアなど、世界各国から集めたものです。少しエキセントリックな動物の形のティーポットは、とても人気があります。これらの商品は、展示会で見つけてきます。

-おいしそうなジャムも自家製ですか?

クリスティーヌはジャムも作っています。お茶のジャムもありますよ。

-お茶のジャム?

そうです。お茶がベースになっているジャムです。モガドール、ナンフィア、シェルシェ・ミディなどのお茶に合わせて、同じ味と香りのジャムがそろっていて、一緒に楽しむことができます。朝食やアフタヌーンティなどに、パンとお茶、ジャムという組み合わせは最高です。

-しゃれた朝食ですね。

このジャムはゼリーのようにとても軽く、マフィンやスコーンなどイギリスのお菓子とよく合います。もちろん、トーストしたパンにも。その他、リンゴ、シナモン、グレープ、ピーチ、レッドベリーのジャムもよく売れます。ビンが小さいのも人気の秘訣のようです。

-この“砂糖”というのは何ですか?

バニラ、ジンジャー、シナモン、オレンジ、レモン、ココナツなどの香りつきの砂糖です。デザートやフロマージュブラン、フルーツサラダ、タルトなどをさらにおいしくしますよ。

-お茶はティーバッグもあるのですか?

モスリンのティーバッグもうちのオリジナルです。すべての種類はありませんが、いくつか用意してあります。朝忙しいとき、仕事場で急いでいるときなど、時間があまりない人にとってとても便利ですよね。

-この花びらのようなものもお茶ですか?

ネプチューンと名づけたフルーツの水です。ハーブティーのように、気分をリフレッシュさせる飲み物です。一日中いつでも好きなときにいただけます。温かくても冷たくても。フルーツの水は、夏、プールサイドで飲むといいでしょう。

-最近パリでお茶がブームですよね。

そうですね。お茶が流行っています。昔はコーヒーが主流でしたが、だんだんお茶に移行しています。男性でさえお茶を飲むようになりました。男性もよくこの店に来て、お茶について質問していきます。

-どうしてお茶がトレンドになったのでしょう?

お茶が人気になったのは、プロモーションのおかげだと思います。昨年は、ポルト・ド・ヴェルサイユで、初めての大規模なお茶の展覧会が開かれ、たくさんの人が訪れました。

-健康志向も関係ありそうですね。

そうです。お茶は健康にとてもよく、ファンタスティックな飲み物です。今、フランスでは緑茶がとても陰気です。これはギョクロ。あなたのほうが発音が上手でしょうけど。

-玉露ですね。

お茶の葉を食べたりもしますよ。とてもおいしいですね。私は大好きです。

フランス料理のパティシエも、粉末の量k茶を使っています。お菓子だけでなく、メインディッシュにも。料理以外にも、香水、化粧水に緑茶を使った商品が増えていますよね。内的にも外的にも、心地よくさせてくれるのが緑茶なのです。

-ここのお茶はイギリスの伝統的な紅茶とは違いますね。

フランスでは、ダージリンとかのいわゆるクラシックな紅茶ではなく、いろいろなものをミックスして新しい味を作りだしています。フランス人は新しいものが好きなのです。ここのお茶はどれも、とてもオリジナリティ豊かです。私たちは、お茶の香りや味をお客さんにアドバイスしています。

-お茶について少し説明してください。

ナフィアールは人気ナンバーワンのお茶です。中国の黒茶、バニラ、赤いフルーツがミックスされています。アールグレイ・シェルシェ・ミディは、この店のある通りの名前にちなんでつけられました。これは、紅茶、中国の黒茶、ウーロン茶、ベルガモットとオレンジ、かわいい花びらが入っています。

-レーヌ・ド・サバ(サバの女王)はどんなお茶ですか?

中国の黒茶と緑茶、ウーロン茶、アプリコット、ピーチのブレンドです。ウーロン茶は味を強めるために、このお茶にも少し加えてあります。ジャルダン・ド・モガドールは、ミント、黒茶、ローズの入ったモロッコ風です。サン・シルベストルは、バニラ、シナモン、スパイス、オレンジで、とてもおいしいですよ。いろいろな緑茶もあります。

-いろいろな緑茶というと?

緑茶とベルガモット、緑茶とベデボワ、緑茶と洋ナシ、緑茶とさくらんぼ。キューピドンは、緑茶にオレンジの花とスパイスを加えた、すばらしい味です。

-日本では緑茶にお砂糖をいれませんが、フランスでは?

基本的には緑茶にお砂糖は入れません。甘いのが好きな人もいますが…。

-これだけの種類があると、すべてを味見するのは無理ですね。

2、3日あれば大丈夫でしょう。

-普通の紅茶もあるのですか?

ありますよ。また、春に初摘みしたダージリンを毎年新茶として売り出します。小さな畑できちんと管理して栽培されています。とても高価ですが、丁寧に栽培されているので、この価格になってしまいます。

取材中、プレゼントを買いに来た女性は、ウルトマットさんにアドバイスされながら、自分でオリジナルのプレゼントボックスを作っていった。 ひとつずつ香りを確かめる姿は、まるで香水を選んでいるかのようだった。

60 Rue du Cherche-Midi – 75006 Paris

*2002年の情報です。

 

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