パリの店:ナチュラルコスメの店 Senteurs de fée

『専門店』「世界の専門店拝見 こんな店・あんな店」 2004年12月号

フランスは健康ブームで、化粧品にもその影響があらわれ、植物など自然素材に注目が集まっている。今回は、植物を利用した化粧品ブランドの創始者カティアさんにお話をうかがった。

-ここでオリジナルの化粧品を販売しているのですね。

このブランドは、幼馴染のクレールとのコラボレーションで生まれました。私たちは以前、同じ研究所で働いていました。そのときから、オリジナルブランドを作りたいと語り合っていたのです。工芸品のような総合的スキンケア製品を作ろうと。

-いつオープンしたのですか?

ここは2年前にオープンしました。以前マレ地区に店があり、このブランドが誕生して4年になります。パリのショップはここだけで、フランス国内の一部のブティックでも販売しています。

-あらゆるものがそろっているようですが。

フェイスおよびボディケア、バス用品、香水、そしてマッサージ用オイルや室内用芳香剤などです。天然原料だけを使い、合成化学の着色料や香料は添加していません。

-どのような手順で製品ができあがるのですか?

私たちのアトリエで処方箋を書き、慎重に選んだ原料で製品サンプルを作ります。その後、国際的にも有名な研究所で、私たちの処方に従って商品化します。
というのは、化粧品づくりはとても繊細で、環境条件などが整っている企業と橋梁する必要があるのです。生産管理は任せていますが、私たちがすべてをコントロールしています。

-丁寧な製品づくりですね。

ひとつの製品ができあがるまでには、多くの作業が伴います。スタッフ、製法、原料選びなど、あらゆることに配慮し、責任をもって作っています。どんなに小さな製品であっても、貴重な原料を使用しているので、すぐれた効果があるのです。

-フランスの検査は厳しいと聞いたことがあります。

とても厳しく、すべて調査されます。これらの検査をクリアした商品だからこそ、品質には自信があります。消費者も検査が厳しいことを知っているので、私たちのブランドを認めてくれるのです。

-原料はフランス産ですか?

国内だけでなく、マダガスカル、インド諸島、ブルガリアなど世界各国から手に入れます。野生の植物から摂取したエッセンシャルオイルを使い、植物の収穫時期も把握しています。

-この業界は長いのですか?

15年ほど前からです。アロマテラピスト養成学校で学び、化粧品の調合に携わってきました。

-なぜアロマテラピーを学んだのですか?

栄養学やマクロビオテックを勉強したのがきっかけです。
若いころ、スポーツが好きで、演劇やパントマイムもやっていました。エネルギッシュな肉体をつねに維持しなければならず、エネルギー消費を補うために、食事法を学ぶ必要に迫られたのです。
もっとも快適な方法として、栄養学やマクロビオテックにたどりつきました。

-そしてアロマテラピーを?

その延長で、自然による美容法に関心を持ち始めました。植物の治療作用を理解したいと思ったのです。
それに、幼いころから花や植物が好きでしたから。

-子ども時代はパリにいらしたのですか?

中東の国に暮らしていました。イスラム諸国では、お香を焚く習慣があり、香りはとても重要です。その体験がこのような職業に結びついているのだと思います。

-フランスでアロマテラピストになるのは難しいですか?

解剖学や生理学だけでなく、ナチュロパティ、フィトレラピー、生化学など、多くのことを学ばなければなりません。修学期間は少なくとも3~4年です。

-国家試験のようなものがあるのでしょうか?

ありません。フランスには、アロマテラピーを学ぶ大学や教育機関、それに相応する学位もないですね。プロのアロマテラピストが教師となり、プライベートの養成学校を経営しています。ここで受講し、試験に合格すればアロマテラピストになれます。

-どのような人が教師になるのですか?

アロマテラピーの基礎を築いたバルネ医師のような著名人もいます。彼はとても有名なフランスの軍医でした。
医師や外科医がアロマテラピーの教師になるケースが少なくないですね。

-今では多くの人がアロマテラピーに興味を持っていますね。

10年ほど前から、アロマテラピーという言葉がよく使われるようになり、5年前からはビジネスとして注目されています。この時代に必要だからでしょう。

-植物をテーマにしたコスメが増えているように思います。

植物系化粧品ブランドは、ここ数年で増加しています。市場取引の法律が変わり、これらの分野に参入しやすくなったという理由もあります。

-フランスのコスメ業界に進出するのは厳しくないですか?

難しいけれど、不可能ではありません。
植物性原料や合成化合物を一切使用しない、本当に良質の化粧品を作るのは、とても魅力的な仕事です。私は、化粧品づくりを愛しているのです。

-人気のある製品は?

ベストセラーは、ネクタール・ド・ローズです。日本人も好きですよ。フェイス用オイルで、アプリコットの種、マカデミアナッツオイル、純粋なローズオイル、ビタミンEを配合しています。

-他には?

海洋成分が豊富なゲランドの灰色の塩を使ったバスソルトも人気があります。リラックス用、活力を与えるタイプ、ダマスカスのローズ入りトリートメント用の3種類です。
オイルマッサージも売れています。2種類のバラを使った美肌用オイルは、小さなシミや吹き出物、すり傷を減らす効果があります。ジャスミン入りは、体の疲れを軽減し、リラックスのためのオイルです。

-これもキレイですね。

中東のお香です。炭の上にさまざまな香りの粒を少しずつふりかけて燃やします。いい香りでしょう。これらの粒は、樹液で作られています。

-この場所を選んだ理由は?

祖母が住んでいたからです。彼女はここで生まれ、丘の上のサクレクール寺院で結婚しました。昔からなじみがあり、たまたまチャンスにも恵まれたので、ここにオープンしました。このエリアはクリエーターが多く、小さな村のようで、とても居心地がいいですね。

-毎日このショップにいらっしゃるのですか?

私は金曜と土曜にこの店に来て、お客さんにアドバイスをします。顔見知りのお客さんが、「カティア、肌がこのようになってしまったけど、なぜかしら?」と相談に来ますよ。他の日はクレールとアトリエで働いています。

-クレールさんも来ますか?

クレールは臭覚の専門家です。11区にある診療所でカウンセリングをしています。臭覚に関する悩みを持つ人を診察し、精神学的に香りを分析します。もちろん、このショップに立ち寄ることもあります。

-ここでお手入れをしますか?

エステもやりたいのですが、店が小さすぎて…。次のショップはもっと大きくして、エステのスペースを設けたいと思っています。2号店、3号店とこれから展開していくつもりです。日本にも進出したいですね。とても興味があります。

Senteurs de fée:47 bis rue d’Orsel – 75018 Paris/10 rue Sévigné 75004 Paris

 

世界の専門店拝見 こんな店・あんな店 パリ
『月刊専門店』1991年1月号~2008年5月号(日本専門店会連盟)に掲載された記事です。 1999年1月号 香りの専門店 Diptyique 1999年3月号 フランス各地の工芸品 La Touile à Loup ...

パリの食べ物屋(28のレストランやカフェを紹介)

美容に関する記事一覧

    

タイトルとURLをコピーしました