『北海道新聞』夕刊 「ビバ!サッカー」(2002年7月1日)に掲載された記事です。
波乱といわれた大会は、王者ブラジルの優勝で幕を閉じました。
ブラジルの個人技に勝るものなし。
カフー、ロナウド、リバウドらブラジル選手の笑顔はおちゃめですね。
一方、気丈なドイツ選手は負けても泣きません。ゲルマン魂は、最後まで不変でした。
選手やサポーターの泣き笑いには国民性が表れることを、W杯を通して知ることができましたね。
世界の人々が、実態のある身近な存在になったと思いませんか?
札幌ドームで、私は初めてエクアドル人に触れました。
以前は位置さえ定かではなかったこの国ですが、サポーターを直接目にしたことで、親近感を覚えるようになりました。
対戦相手のイタリア選手を撮影してはしゃぐ姿は、とても無邪気。
応援の言葉の意味を知りたくて声をかけたら、かなり無愛想。どちらも素顔のエクアドル人です。
この大会で見た世界の人々は、想像の人物ではなく、いい面も悪い面もある等身大の人間です。
少し大げさかもしれませんが、勝利の喜びや敗北の悲しみが万国共通ならば、日常生活の楽しさや憂いも、みんなで共有できそうな気さえしてきます。
W杯の魅力は、試合のスリルはもちろんですが、世界の人々と同じ視線で世の中を見つめ、分かち合う喜びを教えてくれるところにあります。
そして、感動的なエピソードが生まれることも忘れてはいけません。
決勝戦で途中出場したアルモアは、ドイツの人種差別の壁を崩した初の黒人選手です。
また、3位決定戦では、心温まる光景を目にしました。
涙する韓国選手の手を取り、健闘を称えたトルコ選手。その立派な精神に拍手を贈りたい。
すばらしいシーンだけでなく、ささやかな美談もしっかり心に残しておきましょう。
万歳(ビバ)、日韓共催ワールドカップ!
そして、ありがとう。