「熟年離婚」が話題になっていますが、フランスでも7年ほど前に、離婚した妻の苦悩を綴った本が大ヒットしました。
結婚25年の夫婦が夫の浮気が原因で離婚するというお話し。妻の座を奪われた女性は「本妻シンドローム」に陥ると、さまざまなメディアで取り上げられたほどです。
もがき悲しむ妻の本音に多くのフランス人女性が共感していたのには、かなり驚きました。フランス女性は軽々しく恋をしているイメージが強かったからです。
しかも、「本妻シンドローム」に苦しむのは、「夫の仕事を支え、子供を育て、自分のキャリアを犠牲にし、安定した家庭を作ろうとした妻」なのだそうです。
フランス人も同じなのですね。
「本妻シンドローム」になりやすい女性は、「結婚生活は負担ではなく、束縛は喜び」「夫の浮気を知りながらも、妻という立場で許してきた」「捨てられるのは、死ぬのと同じ」といったタイプに多いそうです。
「本妻シンドローム」について、雑誌の記事に紹介された専門家の意見は以下の通りです。
<社会心理学教授>
一夫多妻は現代社会でもまだ存在していることを忘れてはいけない。若い世代は、相手が浮気をしたら、すぐに離婚をするので、それほどひどく落ち込まない。しかし、10年も結婚生活が続くと、多くの夫婦は、「夫は愛人を持ち、妻を母親としか見ない」というようになる。その理由は、男性は未熟であり、この関係のほうが安心できるから。もしくは、女性が母親役に甘んじてしまうから。
<夫婦問題のカウンセラー>
相手に寛大すぎると、不幸な結果を招くことになる。最初の浮気で夫を捨てるべきではないが、「気をつけなさい。私は浮気相手よりもっと価値があるのよ」と警告しなければならない。妻もまた、「夫の浮気を防ぐために、自分の態度をどう変えたらいいのか」と自問しなければならない。
<精神分析学者>
嫉妬することで、行動の限界が規定される。自由を享受できる時代であっても、すべての束縛を逃れることはできない。子供が親の規制を求めるように、夫婦においても、相手に限界を定めて欲しいと思っているはずである。それに抵抗はしても、束縛してほしいのだ。浮気を見逃すのは、親密度が欠乏している証拠で、二人の絆の弱さの表れである。これでは、結婚関係を継続するのは難しい。浮気症の人は、どうして浮気をするのか全く説明できない。妻は、「夫が他の誰よりも自分を愛してくれている」と思い込みたいので、夫が家に帰ってくることで夫の愛を確認した気になり、満足する。こうして、夫の浮気を許すのである。寛大すぎる妻は、自分もまた、罪を犯していることに気づいていない。
(2005.02.18 00:23)