フランスの離婚:仮面夫婦は子どもをダメにする

仮面夫婦はやめよう、という1996年ごろのフランス女性誌の記事から、心理学および精神分析医のインタビューの抜粋です。

子ども時代の環境と犯罪を結びつけるのは、あまりにも短絡的だが、最近の忌まわしい事件には、愛情の薄い過去を持つ若者が関係しているケースが多い。悲惨な家庭に育った子供は、大人になったときに、同じようなことを繰り返しがちです。

フランスでは、不仲の夫婦が同居するより、片親のほうが好ましいと考えられています。

フランス人の理想とする家族像は、「子どもと心が結ばれた家族」。でも、「再婚した家族」「片親の親子」のほうが、「愛がなくても、子供のために一緒に暮らす両親のいる家族」より支持が高い。

子どもにとって、親の離婚はショックなもの。子どもの年齢には関係ない。しかし、夫婦が憎しみ合い、不幸な環境の家庭で子供を育てるより、別れて片親が育てた方がいいというのが、フランスの児童心理専門家の意見だ。
「子どもがいるから離婚できない」は言い訳。臆病な自分(親)をごまかしているだけ。
現実には、子どもが大きくなるまで離婚を待つケースが、あいかわらず多い。この場合、家族全員が嘘をついて暮らすことになる。親は、子どもを守ろうと嘘をつくが、結局、自身を弁護する口実でしかない。大人は、子どもを利用して、自分たちの行動力のなさをごまかすのだ。そして、現実の二人の関係を直視しないで、子どものために犠牲になっているとお互い非難しあう。
「両親はまだ愛し合っている」という虚像の中で子どもを育てるのは、とても危険。
健全な大人に成長するには、真実を知る必要がある。思春期、もしくは成人してから、偽者の世界で育ったと知ったら、どんなに傷つくであろう。愛だけでなく、全てが信じられなくなるに違いない。この精神的ショックは、幼い時の親の離婚で受ける苦しみより大きく、ひどいトラウマに陥ることになる。

その場しのぎに嘘で塗り固めるのは、本当の愛情ではない。

「温かい家族を崩壊したら、子どもがかわいそう。だから、親はがまんしなければ」

親はそう考えるが、人生にはショックや危険の連続である。大切なのは、ショックや危険を克服しようとする子どもを、どのように支え、励ましてあげられるかだ。

「子はかすがい」は、偽善的な場合がある。親が、自分のしたいことをはっきり認め、事実を告白したほうが、子供にとってはいい。子供は、「仲のいい夫婦のふりをし、真実を言わない嘘つきの親」など、持ちたいとは思っていないだろう。

(2005.02.13 01:16)

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