国際結婚の悲劇

今日は裁判の傍聴。
妻を殺害したネパール人の判決だった。こういう事件は胸が痛くなる。

2008年5月5日から6日にかけて、離婚を迫る妻に激昂し、顔面をノートパソコンで複数回強打するなどして殺害。妻が倒れた際に下敷きになった生後6ヶ月の長女の遺体を近くの川に流し、さらに、店舗兼自宅を放火したとされる。

殺人、死体遺棄、放火の罪で、27歳のネパール人が懲役15年を言い渡された。

2009年2月18日に論告求刑公判が札幌地裁(井上豊裁判長)であり、検察側は懲役23年を求刑。弁護側は「妻への殺意はなく、傷害致死罪にとどまる」などと主張し、寛大な判決を求めていた。

事件の背景に言語の壁や意識や習慣の違いによる感情の行き違いがあった、と裁判長は指摘した。

この事件の背景からさまざまな問題が見えてくる。

被告はひどく顔色が悪かった。日本語はまったく話さず、妻の家族のほうも最後まで見なかった。

事件が起きたのは、北海道倶知安町。
オーストラリア人スキー客が急増し、セレブなコンドミニアムが建ち並び、国際リゾート化している地域だ。
先日、ここを見学してきたばかりなので、その華やかが、かえってこの事件を悲しくさせる。
ネパール人と妻はカレー店を経営していたが、この町に住む私の知人は、その店の存在を知らなかったそうだ。
外国人は多い町だが、そのほとんどがオーストラリア人で、外国人コミュニティには入れなかったのだろう。
オーストラリア人とネパール人に対する日本人の見方も、同じではなかったかもしれない。

二人の結婚までの経緯は知らないが、言葉が通じず、お互いの文化や習慣を理解できていないうえでの関係は、障害もたくさんあるだろうと想像できる。
愛があれば乗り越えられる、といった次元ではないときもあるはずだ。
「結婚」の概念も、それぞれ異なったのかもしれない。
男性がそもそもどんな人柄だったのか、コミュニケーションが十分にできない関係では、なかなかわからない。もともと暴力的だったのか、追いつめられて豹変したのか。
日本人同士でも、それを知るのが難しいかったりするのだから。

国際的、というのは、単に外国人と話して、友だちになるだけではない。
こうした悲劇が起きない、共生できる社会を作ることにもあると思う。

(2009.03.11 20:37)

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