恋愛、結婚、離婚といったフランスの記事のほとんどに、「不安の多い現代社会では、カップル生活を心のよりどころにしようとしている」とか、「カップル生活をしながら自己実現を目指す時代」という表現が出てきますが、こうした考え方は日本にないように思います。
「カップル生活に夢や希望を抱きすぎる」とフランスでよく指摘されるのですが、二人で暮らし、家庭を作り、子供を産んで育てることに、彼らは強いあこがれを持っているらしいのです。フランス人が描くカップル生活は“愛のある暮らし”でなければならず、かなり理想が高いともいえます。
それゆえ、恋愛もカップル生活(結婚を含む)も離婚も、つねに本気モードです。
フランスに限らず、ヨーロッパの多くの国で、“家族”の価値が高まっている印象を受けます。
一方、日本の場合、不安な社会でなるべく安泰を手に入れる方法としては、結婚せずに親元に同居するか、生活レベルを落とさない独身生活が好まれます。
結婚しない理由や出産しない理由も、「自分の生活を犠牲にしたくないから」といった類が上位を占めていると聞きます。
二人で暮らし、家庭を作り、子供を産んで育てることへのモチベーションが、日本人は少し曖昧です。
精神的な意味で、日本人はカップル生活への夢や理想が希薄であるような気もします。
それでいて、結婚式はこうしたい、新居のインテリアはああしたい、といった物質的な要求においては、いきなり夢見がちになるのが日本人です。セレブ・カップルにあこがれるのは、彼らの精神的なつながりに共感してというより、カップルとしての表面的な格好良さがうらやましいだけのように見えます。
それとは反対に、カップルの日常生活に関して、フランス人は現実的といえます。
たぶん50年代ぐらいまでは、両国の結婚観にそれほどの差はなかったのかもしれません。でも、ここ数十年で、全く違う方向に進んでいるのではないか、と思うことがあります。
どちらが正しい道かはわかりませんが、出生率の結果がひとつの答えと考えられなくもありません。
(2006.04.18 00:25)