フランス家族事情:親子関係の変化

子供の事件が起きるたびに、心が痛くなります。

フランスの子供を取り巻く環境は、日本以上に荒廃しています。それゆえ、子供に関する問題は、つねに熱心に議論されます。

以下は、1998年頃の社会学者イレーネ・テリーのインタビュー記事です。

親子関係の変化

子供の問題に関して言えば、親の権威主義的モデルは消滅したが、親としてどのような振舞うべきか全くわかっていない。

親は教育熱心になり過ぎていることを自覚している。教育が、唯一の正当な親の権利であるからだ。落ちこぼれ、及第、親の失業という最悪な状況で、子供たちは苦しんでいる。

郊外の若者たち(貧困エリア)の非行現象に驚いてはいけない。失業中の父親の不安が、この若者たちの荒れた行動となって表れているのだ。息子たちは、父親に価値を見出せず、軽犯罪者として振舞うことで、誇りを取り戻そうとしているのだ。

親権問題と子供

子供は、父と母の二人の親を持つ権利がある。

その目的は、親子のゆるぎない関係を理解することであり、父と母が50%ずつ保護するという意味ではない。父と母で、子供を100%世話するという意味である。

つまり、共存親権を目指しているのだ。この全く新しい考え方は悲観的に語られがちだ。というのは、「2つの家を持つのは、子供にとってはよくないことで、うまくいかない」と、人々が考えているからだ。私は、そのような偏見を取り除くために、住居問題を解決させる提案をしている。

子供を父と母の2つの家に滞在させるのは、考えられる可能な解決法のひとつであり、子供に最良の条件で、すでにこの方法を取り入れている親もいる。

既婚者であれ離婚者であれ、重要なのは、子供に対しての責任である。

親権基本法は1993年に可決し、少しずつ改訂された。1994年、かなり多くの父親が、毎週子供に会えるようになった。しかし、まだ1/4の父親が全く子供に会えずにいる。

離婚した父親が子供を受け入れられるように、父親という権利を利用して、公団住宅に申請できるようにすることも提案している。

片方の親が、もう一人の親を遠くに追いやるのを強制してはいけない。少なくとも、情報交換や話し合いは義務とされなければならない。

しかし、誤解してはいけない点は、共存親権が継続しても、離婚した夫婦が関係を存続させるという意味ではない。それぞれが、いずれ新しい配偶者と一緒になることを前提にしている。

共存親権は、何が起ころうとも、子供が自分の親を失わないという発想に基づいているのである。

母子家庭の不利

片親の状況は厳しい。離婚した女性、特に、恵まれない環境にいる女性は、非常に貧しい。女手一人で、子供をしっかり教育するのは難しい。解決策としては、もう片方の親も、大きな責任を負うべきだということだ。

心理学者の中には、女性一人では、子供をダメにすると烙印を押す人がいる。これは、必ずしも正しいとはいえない。一人といっても、彼女には、友達や同僚、恋人などがいるはずだ。母子家庭は危険だという偏見は避けなければならない。

(2005.03.08 00:00)

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