日本の少子化対策は、時代にマッチしているのでしょうか?
「結婚支援事業(この名称自体、怖いものがある…)に、4割の市町村が否定的」とのこと(朝日新聞)。この事業に4000万円も費やしている自治体もあるとか。
役所が主催するお見合いパーティなど、ちっとも面白くなさそうなのに。
フランスでも晩婚化が進行中。独身者数が増加し、社会問題になっています。
ある調査によると、21~44歳の男性の約20%、女性の約14%が未婚。「出会いのチャンスがない」と嘆いている人は52%。
同じ支援事業でも、両国の対策は対照的。日本は上から集団見合い的な方法を押し付け(?)て結婚を促そうとしているけど、フランスの場合は、当事者たちが立ち上がり、出会いの機会を作っています。
意外かもしれませんが、「出会いのチャンスがない」と嘆いているフランス人は52%。
90年代、出会いの場が減少していることから、独身者に優しい環境づくりが始まっています。パーティビジネスも盛況で、出会いバリアフリーのレストランやカフェも増えています。
総合誌「Le Obserbvateur」の別冊パリ・ガイドには、出会いが期待できる場を紹介。カフェ、書店、市場、映画館、スーパー、図書館、プール、CDショップなど、ジャンルもいろいろで、異性愛者向け、同性愛者向けの説明入り。
「日常生活(職場、スーパー、本屋、地下鉄など)を見直そう」とか、「スーパーが穴場。買物内容で独身かどうかチェック」とか、かなり実用的な方法が紹介されました。フランスでは、エリアごとに出没する男性が違うので、「場所別、男性タイプ別誘惑法」といったものまで幅広く出会いの手段を提案していました。
フランスでは、街中や、サークル活動などの余暇(スポーツや映画、フェスティバル、美術館など)で声をかけるといった突発的な出会い(ようするにナンパ)が大きな割合を占めています。
出会いの場は階級により異なり、エリート層は大学や友人のパーティ、一般層は職場で、それぞれ12%。それに続き、バカンスでの出会いが5%、その他として、フェスティバル、美術館、スーパーマーケット、バーなどがあります。結婚相談所での出会いは1%です。
ただ、活動の場が広がったわりには、いずれも決定的な新しい出会いポイントにはなっていないそうです。
以前はダンスパーティや近所づきあいでの出会いが多く、40%(戦前)がこのパターンでした。
しかし、1980年の調査では、「ダンスパーティや近所づきあいで交際が始まった」と答えた人はほとんどいません。
それに加え、インターネットや携帯電話の発達で面と向かって語り合う機会は減り、人々は疑い深くなっているためになれなれしく話しかけるのも危険、というわけで、「声をかけたくても、どこで?」と悩んでいる人が増えているというのです。
ここ数年、恋が芽生える優しい環境づくりが加速しています。
パーティ・ビジネスも盛況で、出会いを演出するレストランやカフェも増加中。
2004年に発行された総合誌「Le Obserbvateur」の別冊パリ・ガイドには、ナンパに最適なスポットを紹介する項目も加えてありました。
カフェ、書店、市場、映画館、スーパー、図書館、プール、CDショップなど、ジャンルもいろいろで、異性愛者向け、同性愛者向けのマーク入りです。
また、デパートのギャラリー・ラファイエットの食品売り場で開催された出会いショッピングも話題になりました。
2003年10月からの1年間、木曜夜18時30から21時が恋人探しの時間。
出会いを求めている人は、「独身者の木曜日」と書かれた赤い布張りのカゴを持って買い物します。
夜7時ごろ、会社帰りの男女でにぎわう高級デパ地下(実際には2階ですが、イメージとしては日本のデパートの地下食品売り場)を見学しました。
真っ赤な買い物カゴは入口に積んであるのですが、それを手にするのは少し気恥ずかしい。
でも、何人かカゴを持っている人がいました。30代と思われる女性が多く、すまして買い物をしています。
女性を物色しているのか、ショッピングには興味なさそうにウロウロしている男性も。
フォアグラ売場の前で、笑いながら話し込んでいる男女を発見しました。ナンパ成功のようです。
しばらく歩いていると、食品売場全体がゲーム場に見えてきて、趣きの違う合コンに参加している気分になります。
大はしゃぎしている女の子のグループも。
ただ、一人で買い物する女性の姿は物欲しげに見えなくもありません。
この話しをフランス人にしたら、「バカンス前は妻子を旅立たせたニセ独身者が多いかもね」とぼそっと答えました。
事情を知らないで赤いカゴを手にしているらしい日本人観光客もちらほら。
ナンパされたかもしれませんね。
残念ながらこのイベントは終了してしまいましたが、フランス人はあの手この手で出会いを求めています。
フランス人はあまり警戒心がないのか、出会いの手段にこだわりません。
インターネットでの出会いにも肯定的で、フランス男女の約400万人がインターネットの出会いサイトにアクセスしたことがあるとか。
フランスにも内気な女性や声のかけるのが苦手な男性がいるので、そのようなタイプが参加できる方法として、インターネットは人気といえます。
インターネットが普及する前は、雑誌に「パートナー求む」の広告を出す恋人探しが話題になりました。
映画「秋のソナタ」も、恋人広告をテーマにしていましたね。
当時、この広告を利用する人の平均年齢がだんだ低下しているとのことでした。ただし、リスクも高く、すっぽかされたなどは序の口。結婚までにいたったのは1%だけだそうです。
恋人広告を利用する人は次第に低年齢化し、その後、若い世代を中心に、インターネットでの出会いが主流になりました。
インターネットを利用した出会いサイト(H系ではない)は多く、ヤフー・フランスの出会いサイトなどがポピュラーのようです。
出会いパーティも、会員制から自由参加のものまで、さまざまなパーティが企画されています。
ペンと紙でコミュニケーションする「筆談パーティ」は、奥手の人向けとして好評。
パーティの開始後2時間はおしゃべり禁止で、受付でもらうペンと紙を使ってコミュニケーションします。
その後、ディスコのように雰囲気がガラリと変わり、さらなる親睦を深めるというイベントです。
このパーティの参加者から意見を聞いたのですが、みな楽しそうでした。
ひとりで参加している人も少なくなく、おとなしげな人もやはり恋愛には積極的です。
「筆談パーティ」を企画している企業は、「食前酒パーティ」という午後5時から8時までのパーティなど、さまざまなパーティを考え出しています。
顔見知りであろうと、初対面だろうと、フランスでは、気に入った相手に自分から声をかけなければなりません。本人の魅力で勝負し、恋が成就するのです。
フランス的な出会いは、リスクも高いのですが、許容範囲は広く、出会いのチャンスが増えるともいえます。
もちろん、フランスのやり方がそのまま日本で通用するとは思わないけど、今の「少子化対策」の一環としての結婚支援は気持ちが陰鬱になります。
私の住んでいる街では、30代以上の子を持つ親が一堂に会して、子供のために見合いをするという企画があるのですが、もちろん、フランスでは親は介入してきません。
(2005.03.10 00:15)