仕事を持ち、それぞれが自立している男女の夫婦(カップル)のあり方は変化しつつある。
夫婦のそれぞれが仕事やつきあいを持てば、一緒に過ごす時間は減る。
フランスの女性誌に掲載された、精神分析学者と社会学者のコメントの一部抄訳です。
ロベール・ヌーブルジェ:精神分析学者、家族問題カウンセラー
『Les Nouveaux Couples』(1997)
変化の激しい、不安定な社会において、人々は、カップル関係に究極の安心を求めている。
結合は、人が必要だと感じたときに生まれる。この必要性は、恋愛感情とは全く違う。
社会との結びつき、友情や愛情、セックス関係を持ちたがるのが人間だ。自分独自の構成単位(セル)を作り上げる必要があるのだ。
二人の人間で構成された家族カップルは、安心と恋愛感情、物質的満足、社会的地位をもたらす。ただし、共同生活を機能させるには、それぞれが個の一部を強制的に放棄しなければならない。
どのようなグループでも、人は何かを犠牲にしなければならない。
認められていると感じるには、グループに同化する必要がある。
現代社会で、安心できる場所はどこにあるのか? 自己のアイデンティティーを発達させ、人間として成長させてくれるのが、最小グループであるカップルである。なぜなら、最も身近な人が、自信を与えてくれるからだ。
ロベール・ヌーブルジェによる現在の規範
・夫婦は、お互いが経済的だけでなく、心理的にも自律をしなければならない。
・夫婦関係は馴れ合いではない。父と娘、母と息子、兄弟のような関係であってはならない。
・夫婦は親から自立していなければならない。子供がいる場合、親といい関係を保つ必要がある。
・家事はバランスよく、分担しなければならない。
・性生活に満足しなければならない。
ギー・コルノー:精神分析学者
『N ‘y a-t-il pas d’amour heureaux?』
恋愛による結婚は長続きしない。祖父母の時代の結婚は、経済的および社会的地位の向上、遺産の維持と増加を目的にしたものだった。社会の一員になるために、夫婦は同じ屋根の下に暮らした。昔は、男女関係よりもまず、父や母としての役割で結びつくのが義務だった。
ジル・リポヴィツキー:社会学者
『La Troisième famme』
親密な愛情のない共同生活は、期待がない分、悲劇的な生活になりにくい。現代人は、カップルの関係に、憧れを抱きすぎている。
(2005.02.26 00:19)