過去の調査結果でも女性は「ずっと仕事をつづけたい」と

先週(2016年 11月 03日投稿)、「『子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい』と答えた人が54.2%に上り、1992年の調査開始以降、初めて半数を超えた」とのニュースが流れました。
10月29日に内閣府が発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」結果です。

これに対し、内閣府の担当者は、「『社会の意識が変わってきた可能性がある』と分析」(東京新聞)、「『女性が働くことへの理解が広がってきた』とみている」(朝日新聞)とありますが、なんだか寝ぼけた発言。これが”分析”なのか、とも思います。

まったく腑に落ちないので、手元にある『昭和家庭史年表』をぱらぱらめくってみました。

1976年11月5日、内閣広報室の調査によると、「男は仕事、女は家庭」に同感しない者40%、女性が仕事をもつことが地位向上につながるという意見に59%が肯定。

回答の男女比はわかりませんが、40年前には、4割が「男は仕事、女は家庭」に否定的で、女性の社会進出での地位向上に約6割が肯定的だったようです。

この調査を尊重し、女性の活躍を意識した政策を行っていたら、いまごろは本当の意味での「女性が輝く社会」になっていたかもしれません。
「女性の活躍」というフレーズを聞くたびに、最近は腹立たしさを覚えます。

結局、どんなに調査結果が変化しても、政策には反映されず、そして、その調査結果をただ報道しただけでは、女性の働く環境は変わらない。
ということです。

私が就職したころの1978年、「女性の労働人口は2,010万人で全労働の37.4%」(総理府、初の『婦人白書』)だったそうです。

1980年1月3日、総理府の「婦人に関する世論調査」によると、「1人立ちできれば結婚しなくてもよい」「子どもができても仕事を続ける」女性が合わせて23%。前回(1973年)の倍。

1984年9月、総理府が行った「婦人に関する世論調査」で、男女の地位が「平等になっていない」と思う者73.9%、自立できれば結婚を望まない女性が3割を超える。

こうした女性たちの声はなぜ、いまのいままで、反映されないままなのでしょう。

もっとさかのぼって、面白い調査結果を発見しました。

1948(昭和23)年の「職業婦人に関する世論調査」(内閣府広報室)です。
東京23区内で働く1,724人(回収率98.9%)に個人面接質問法で実施。
この前年9月に、男女同一労働同一賃金などを規定した、労働基準法が施行されたのを受けて行われたようです。
1950(昭和25)年の女性の労働人口は1,416.9万人で女性総数の48.7%(2010年国勢調査「労働力状態」)。

その結果によると、約7割が仕事に興味を持ち、13.5%が「できれば一生つづけたい」と回答しています(「結婚するまで」が34.9%、「結婚しても子どもができるまで」が4.7%)。

そして、「現在の社会状態では家庭に入っても婦人が勤めにでることができるでしょうか」の設問に、「できる」が38.4%、「できない」が41%。
できない理由は、「育児」6.7%、「家事など」25.8%、「体が続かない」1.3%、「家庭生活がつまらなくなる」6.0%、「その他」1.2%。

つまり、「家庭が大事」という理由で仕事ができない女性は6%(家庭生活がつまらなくなる)でしかなく、育児や家事など女性の役割分担による理由が大きいということではないでしょうか。

70年ほど前の世論調査で、女性の働きにくさは明らかになっているのに、延々と同じことを繰り返す日本。

今年発表になった調査結果を、単なる調査結果で終わらせたくないですね。

(2016年11月3日)

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