この手のテーマは、紹介しても空しさを感じますが、とりあえず。
イギリスでも、男性が育児休暇をとりにくい環境だといいます。「男性も育児に協力的な紳士の国」というわけではないようです。
日本人にとっては、イギリスでさえ隣の芝生といえます。
日本の父親が育児に費やす時間は1日平均17分で、非常に少ないと海外の新聞で指摘されたこともありました。
スウェーデンでは育児休暇取得者に出世の道が開かれているそうです。
育児経験者は優れた企業人になる資格があるとのこと。
だとしたら、「有能な企業人は、育児も立派にこなすことができる」という逆説は成立しないでしょうか。バリバリ働く日本のパパたちは、実は育児上手なのかもしれません。
相次ぐ青少年の悲惨な事件のたびに、家庭環境がクローズアップされますが、いつも話題になるのは母親と子供のかかわりです。父親の存在はいつも薄いですね。
育児は、仕事の達成に値する貴重な経験といえないでしょうか。
胸を張って育児休暇をとることのできる社会には、子供の悲痛な叫びの代わりに、笑顔があふれるのではないかと思います。
ブレア首相の育休取得が話題になった2000年5月15日の英国タイムズ紙の記事の抄訳です。
イギリスの男性育児休暇はスタートしたのは、1999年12月。EUの規定で、5歳以下の子供を持つ親に13週間の育児休暇を強制的に認めざるをえなくなった。
しかし、自分のキャリアアップのマイナスになることを恐れ、仕事場で子育て問題を持ち出すイギリスの男性は、まだまだ少ないというのが現状だ。
「企業戦士たるもの、子育てや子供の教育に時間をかけている暇はない」「仕事中心の生活が家庭崩壊の原因につながる」 これらが時代錯誤だと重々承知なのだが。
育児にもたっぷり時間を費やしたいし、出世もしたい。そんなオイシイ話しが、あるわけない? 実はあるのだ。男女平等、福祉制度と、ヨーロッパでは何かと“あこがれ”の的スウェーデンの育児制度である。
スウェーデンでは、政府が父親の育児休暇を奨励しており、6ヶ月の有給休暇をとることができる。多くの大企業が、育児休暇後の復職を歓迎しているという。
父親として育児を体験した人は、立派な企業人になると考えられているからだ。育児で養われる時間の管理能力、臨機応変な人の扱い方は、仕事にも生かされるはずである。実際、育児休暇後、キャリアアップさせるシステムをとる会社も出現しているという。
男性の育児休暇が実施されたにもかかわらず、スウェーデンのような幸運な環境にはまだ恵まれていないイギリスの男性たちは、家庭と会社の板ばさみ。仕事場で「ノー」という勇気が欲しいのだが、その一言が、なかなか言えないのだ。
われわれ日本人にとっては、そんなイギリスでさえ、隣の芝生。
育児経験者が優れた企業人になれるなら、仕事に有能な人は、育児を立派にこなすことができる。こういう逆説は成立しないだろうか。バリバリ働く日本のパパたちは、実は育児上手なのかも。
相次ぐ青少年の悲惨な事件のたびに、家庭環境がクローズアップされるが、いつも話題になるのは母親と子供のかかわりだ。父親の存在はいつも薄い。日本では、父親が子供の教育に費やす時間が非常に少ないという。1日に子供と過ごす時間は平均17分という調査結果が、海外の新聞に発表されたこともある。育児は、仕事を達成するのと同じぐらい、貴重な経験といえないだろうか。
胸を張って育児休暇をとることのできる社会には、子供の悲痛な叫びの代わりに、笑顔があふれているのではないでしょうか。
(2020年9月30日)