ロンドン&パリから独身女性の雄叫び

2006年にイギリスとフランスでそれぞれ刊行された、独身女性の「彼氏できな~い」系の本を、やっと最近読み終えました。
笑えた。共感できるところもあったし、考えさせられた部分もあったし…。
女性の独身化は日本に限ったことではなく。イギリスでもフランスでも社会問題となっています。
この2冊は、いずれも30前後の自律した仕事もバリバリやっている女性たちが主人公。

イギリスのは、タイトルが強烈。I’m celibate…Get me out of here!
「私は独身…ここから出して~!」って、切実すぎる、直接的すぎる。わかるけど、その気持ち…。
副題に「インターネット・デートの思い出」とあるように、著者がネットの出会いサイトに登録し、そこで出会ったさまざまな男たちとのデート(といえないものもあるけど)について書いたフィクションっぽいノンフィクション。
最初はバカにしていた出会いサイトなのに、どんどんハマっていく様子がおかしい。
しかも、そこに現れる男たちがみな”変”。
ただ、これを読んで考えたのは、こうした出会いサイトでのやりとりは、会話の駆け引き(恋であろうとなかろうと)が成立する社会だから”笑える”のであって、日本では怖くてできない、ということ。
彼女はメール交換した何人かの男性と直接会っているが、危険な雰囲気はなく、引き際も鮮やかだ。
日本ではこうあっさりとはいかないだろうなぁ、と思ってしまう。
冒頭に出てくる文章で、私はこの本を買ってしまったのだけど、今はちょっとそのときと違う考えを持っている。

Women are like apples on tress.
The best ones are at the top of the tree.
Men don’t want to reach for the good ones, because they’re afraid of falling and getting hurt.
Instead, they get rotten ones from the ground.
They’re not the best, but they’re easy.
The apples at the top think they’re no good,
when in reality, they’re amazing.
They just have to wait for the right man.
The one brave enough to climb to the top of the tree.

木の一番高いところに実ったリンゴが、ベストかどうかは、わからない。
ほどほどの高さのところのリンゴは、やや傷ついていても、味があっておいしいかも。
男性が手ごろな高さのリンゴを手にするのも、わからなくもない。
女性も同じで、自分の届く範囲のリンゴで満足できるし…。
危険を冒してまで欲しいとは思わなくなったのは、そんな情熱を失ったともいえるのかな。

フランスの本のタイトルは、Amazones ou Princesses? (アマゾネスかお姫様か)
副題がすごい。
「セクシーで頭がよくて愉快で自由活発な女は、なぜ男を怖がらせるのか」
なぜでしょう?
著者はジャーナリストで、独身女性たち、精神科医、精神分析医、社会学者らへの取材や資料を分析し、エッセイ小説風に仕上げてある。
5人の女性たち(いずれも仕事で成功している)、団塊世代の母、精神カウンセラーらとの会話が、そのまんまパリの日常生活っぽい。
流行のショップやスポットの紹介が巻末についているので、30歳前後の元気な女性たちがどんなところを行き来し、どんな生活をしているのかが垣間見れて楽しい。

妙に共感できたのが、「ワガママで最低な男になぜ惹かれるか」という部分。
この問いに対し、精神カウンセラーの回答。
「やさしい男には興味がないでしょ? やさしい男は退屈で、生きている気がしないから。女性が求めているのは、愛するとおなかが痛くなってしまうような人。永遠の少年ピーター・パンか、欲望を掻き立てる悪者の海賊…」
これを聞いた著者の言葉。
「カウンセリングの帰り、”カリブの海賊”のDVDを借りた。ジョニー・デップの顔がクローズアップされた場面で停止し、彼に質問。『どうしてヴァネッサ(・パラディー)はやさしい海賊を手に入れたのだろう。彼と子どもを作り、気取った表情で彼を喜ばせ、南フランスで平穏な生活を送っているんだろう。彼女ができて、どうして私にはできないの?』
どうして? 私も聞きたい…。

イギリスとフランスの独身女性の本音(か?)を読み、日本と比較してみたりする。
同じか、違うか。同じようで違う気がする。うまくいえないけど。

(2009.02.26 19:10)

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