国立人口問題研究所のシンポジウム(2000年)の資料から抜粋です。
Laurant TOULEMON(国立人口問題研究所の研究員)の「子供たちの家族」は、フランスの出生事情を説明しています。
1997年に誕生した子の40%が、合法的な結婚以外のカップルの子供で、70年代からその数は増加しました。
以前、私生児と呼ばれていましたが、現在では婚外子(結婚していないカップルの子供)と表現されています。
出生時に父親に認知されない子供は6%程度で、この割合は40年前からほとんど変化ありません。
結婚カップルから生まれた子と両親に認知された婚外子は、権利における差が、最近はなくなりつつあります。
婚外子の増加とは、結婚していないカップルの間に生まれ、そのカップル(父と母)と同居している子供が増えていることを示しています。
また、60年代終わりから70年代に出産した1945年生まれの女性は、できちゃった結婚が1/4でしたが、現在では、カップル関係が築かれる前に子供ができるケースは、7~8%ほど。
子供が生まれたときに両親が同居していた率は、1970年の88%から、94%に増加しています。
望まない出産については、1970年に、4割以上がアクシデントでできた子供だったのですが、現在では、カップルが計画を立ててから出産に臨む傾向にあります。
婚外子とはいっても、40%の婚外子のうち、その40%の親が後に結婚するので、全体では、60%の子供は合法的な子供といえます。さらに、出産後に結婚するカップルが15%いるので、結局、婚外子は25%ほどにとどまっています。
離婚は40%に及び、結婚だけでなく事実婚などのカップルを加えると50%以上が崩壊していますが、子供のいないカップルが多いため、巻き添いになる子供の数は増えているとはいえません。
それでも、1980年前後に生まれた子供の5人に一人が、親の別れを経験しており、5~6%の子供が、生まれたときにすでに親が別居していた状態です。
特に、1985年生まれの子供たちは、15歳で25%が親の別れを経験し、20歳では30%に達するだろうと推定されます(この調査は2000年に行われました)。
1994年には、18歳以下の子供のうち、84%が両親と同居し、12%が片親(10.5%が母親、1%が父親)、5%が片親とその新しい伴侶(3.5%が継母、1%が継父)、どちらの親とも暮らしていない子供は1%です。
両親が別れた場合、84%の子供が母親と同居し、9%が父親と住み、7%がその他の家族と暮らしています。
母親と住む子供のうち、父親と会う機会がないのは32%で、40%の子供は2週間に一度ほどの割合で父親に会っています。
また、少なくとも1/4の子供が、片親だけの時期を経験しています。
フランスでは、できちゃった結婚は時代遅れで、計画性のない出産は減少の傾向にあります。日本の場合、できちゃった結婚はトレンドで、いまだ計画外の妊娠、そして中絶というケースも少なくありません。子供に関わる事件を目にするたびに、望まれない出産をちらりと考えてしまうのは、短絡的でしょうか。。。
(2005.08.04 00:05)