カフェで声をかけるのは変な人?

娘がパリに留学中という女性に、フランス男性のナンパ状況について聞かれた。

「『三国ナンパ論』に出てくる男性は特にひどい人たちでしょ?」と問われ、「確かに全員があのような男性ではないけれど…」と答えつつも、「けっこういるんですよ、あのタイプの男性が」とも言ってみた。

私だけでなく、多くの日本女性があの手の男性に出会っているのだから、かなりの数いるのではないかと思う。

でも、信じてもらえそうにない。

「まともな人はカフェで声をかけないはず」と主張されても、それは正しいとはいえない。
どちらかというと、声をかけない人のほうが珍しい。

女性を引っ掛ける目的とは限らず、何かひと言ぐらい話しかけるのが、フランス人やイタリア人だ。
うっとうしくても、それが普通なので、生活していくうちに慣れてくる。

しかし、日本にいると、カフェで声をかけるのは、変態の部類ととらえられがちだ。
「カフェではみな声をかけますよ。恋愛が生活の一部なので、カフェも大切な出会いの場なのです」などと返答してみたけれど、自分の言葉が恐ろしく浮いてしまった。

”恋愛が生活の一部”なんて、ここではかなり“異質”な感じ。言ってしまった自分に引いた。

もうひとつ、その女性は「フランス人は簡単に恋愛をする」的な発言をしたが、これも間違った情報だ。

フランス人は、日本人がイメージするほど、ポンポンと恋愛を楽しむ軽々しい人たちばかりではない。
どちらかというと、重苦しい人たちだと思う。

結局、「しっかりしていれば、変な男性に騙されたりしませんよ」と締めくくってみたけれど、本当だろうか。自信はない。

“しっかりしている”って、どういうことだろう?
そもそも、日本女性は、国際レベルで自律しているのだろうか?

私たちの世代は、外国人と接する機会がいまほどなかったし、外国人とのつきあい方もよく知らなかったし、女性の地位も低かった。
それゆえ、海外に住みはじめたとき、みんなとんでもない経験をしたりした。今なら笑い話だけど。

あれから20年近くたっているので、最近の女性たちは、もっと上手に外国人とつきあい、堂々と自分の意見を言い、胸を張って海外で生きているのだろうか?

だとしたら、「日本女性好きの外国人に騙されないように!」なんて、時代錯誤ということになる。

でも、実際は、昔とあまり変わっていないのではないかと思う。

この夏、パリのパーティを覗いたが、男性はほとんどフランス人、女性は圧倒的に日本人、という、あいかわらず歪んだ光景だった。

それにしても、こうしたことを言いつづけるのも疲れてきちゃった。

外国人と関係を築く日本女性はそれほど多くないのだから、あれこれ気を揉むこともないのかな、と。

日本人同士が自律した関係を築くことができたら、日本女性も国際社会で立派にやっていけそうな気がする。

(2007.11.18 02:57)

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