失業率26%のフランスの若者の実生活(1998年)

98年頃のフランスの雑誌に掲載された記事の抄訳。

フランスの18~25才の失業率(1996年)は26%。

若者の月平均収入は、18~20才で2700F(62100円)、20~24才は5500F(126500円)。

家賃が払えないという理由から、両親との同居期間が以前より長くなっている。20~24才の女子の半分、男子の半分以上が親と同居。経済的理由で、実家へ戻ってくる若者は15%にのぼる。

フランスの団塊世代の無責任さと若者のパラサイト現象
フランスでは1990年代、若者のパラサイト現象、就職難や失業率の高さ、貧困など当時の若者の問題は、その親世代の問題として議論された。日本では、ロスジェネ世代が話題になるものの、その親といえる団塊の世代の責任については問われていない。

自活する人は女子のほうが多い。19才で親元を離れる男子は19%だが、女子は30%。同棲は、男子の仕事が安定するまで待つ傾向にある。

若者の経済状況は、社会階層により違う。定期的にこづかいをもらうのは、親が管理職の若者が55%、中流家庭では20%。裕福な家庭の若者は、大学入学後、車やオーディオ類を買ってもらう。

親が管理職の若者の7割は、自活の際に援助を受けているのが、労働者階級の若者は1/3のみ。また、女性のほうが親の援助を受ける率が高い。

ひとり暮らしの学生は、月平均4000F(92000円、うち半分が現金で残りは物資)の援助を親から受けている。

さらに、アルバイト料、住宅手当、奨学金などで2800F(64400円)加算され、月7000F程(約16万円)が生活費。ただし、これだけの収入がある若者は少数。

20代で貯金をする人は45%(全体では28%)と多い。食品や家賃にお金を使い、趣味(煙草やバカンス)への出費は少ない。

若者はバーゲンや安売りを活用し、懸命にやりくりをしている。1995年末の調査では、18~24才の若者の45%が、「倹約のためバーゲン品を狙う」と答えている。

若者は現実的で、81%が「問題が解決するまで、がまんの生活をする」、75%が「資格(学位)と関係のない仕事をしてもいい」と考えている。


女子大生の生の声(雑誌より抜粋)

マリー 20才 大学3年(心理学専攻) 両親と同居

1ケ月の収入:こづかい1000F(23000円)+アルバイト月平均2000F(46000円)ぐらい
支出先:地下鉄の定期、レストランでの食事、映画、バカンス

親の援助を受けているが、できるだけ頼りたくない。割のいい仕事をいつも探している。去年の夏は、グランドホステスのアルバイトを2ケ月間して、月9000F稼いだ。6月には、2日日の受付コンパニオンのバイトで7000Fの収入があった。夏休み後は学生食堂で働いた。

あまり無駄使いはしない。親がタクシー代100Fを渡してくれたときなどには、ムダ遣いだと私から注意することもある。

バカンスの旅費は親が出してくれるが、返済している。スペインへ行ったとき、母が2500Fくれた。早く返そうと思っていたが、散在してしまい、3000Fも赤字。すぐには返済できなかった。

親にお金を貸すこともある。最近、父が10000F(23万円)必要だったので、定期預金から貸した。

お金にはあまり興味がない。将来は、自閉症の子供の世話をしたい。億万長者になれるような職種ではないことはよく知っている。

*1フラン=23円で計算

(2005.02.12 02:03)

 

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