フランス人がイメージする日本の女性たちとは

1999年に書いたものです。

外国人に日本の女性像について問われ、答えに困った経験を持つ人はいないだろうか。

優しい、穏やか、慎ましい、内気??? ”若い”女性に限定すれば、フランス人がイメージする、小津・溝口映画の原節子や田中絹代タイプは皆無に近い。かといって、「それぞれが自分を持っているので一般化できない」と言えるほど、しっかり地に足をつけて生きている女性も少ない。

フランス版コスモポリタン(4月号)によると、現代の若い日本女性は4つのグループに分かれるそうだ。この集団は年齢別に、デイブ(13~16歳)、コギャル(16~20歳)、原宿ベイビーズ(20~24歳)、OL(24~30歳)に分類され、それぞれ特徴あるファッションとライフスタイルを持っている。ベビールックのデーブ、日焼けにルーズソックスのコギャル、超個性的な原宿ベイビーズ、エルメスやプラダなどブランドのOL。

1990年代の日本の女の子:フランス女性誌の記事より
1999年にフランス版コスモポリタンに掲載された記事の抄訳です。タイトルは、「集団で遊びたがる日本の女の子たち」。少女たちは、男を求めてグループで遊ぶ。デイブ、コギャル、原宿ベービーズ、OL。年齢で分類されたグループは、部隊のように機能している。

東京で撮影されたファッションスナップの女の子は、皆うれしそうな笑顔。しかし、生地の内容は「日本の女の子って、おまぬけ?」と誤解されそうなものがほとんどである。

「高校生の30%が援助交際している」「OLは男を捜しに海外へ行く」「親が仕送りしてくれるから、2年間の外国暮らしも可能」「結婚前に遊べるだけ遊ぶ」 エトセトラ、エトセトラ。

日本女性誌で、”パリジェンヌは素敵!”と褒めまくってあげているのに、何たる裏切り!と、腹を立てたいところだが、事実も多い。コギャルは札幌にもいるし、OLはフォーブルサントノレ通りを歩けば、いやでも出会う。わが国の女性のイメージダウンを認めざるを得ないのは、とても悔しい…。

記事はさらに続く。「日本では、女の子はあまり責任がない」ため、「集団からはみ出さなければ、何をやっても許される」、だから「日本の女の子はとても自由」。本当?

確かに、ファッションや生活習慣だけを見れば、西洋並みに(以上に?)自由になったといえるだろう。しかし、肝心の意識は、外面の変化に追いつかない。自由であっても、自立できない。根底に、依存心、甘さを残したまま。

だから、「日本では、男女不平等が女性に有利に作用している」とまで言われてしまう。日本女性の自由は、男性社会の日本のみで通用する”自由”だ。真の自由を追求している人たち(例えばフランス人)にとって、この”フリーを楽しんでいる”っぽい雰囲気が、理解できないのも無理はない。

自由には、重い責任も含まれている。自分で考え、自分で選択し、失敗しても自分でケリをつけなければならない。

「そんなの面倒くさ~い!」から、上司が威張っていても、ニコニコお茶を出し、うっぷん晴らしにゴールデンウィークはパリに行っちゃおう…。日本女性の獲得したのは、このテの自由なのである。彼女たちは本当に自由を楽しんでいるのか? それとも性差別の社会で踊らされているだけ!?

日本女性のイメージが、大和撫子で留まるのも困るが、悪い面だけデフォルメされてもたまらない。多様な時代に、女性像の一般化を求めるのもバカげた話だが、この若い女性のイメージは、日本社会の歪みを映す鏡のひとつなのではないだろうか。

 

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