永遠の男性像を求めて

イギリスの新聞電子版に「白人社会に住む黒人女性の理想の男性」に関する記事が掲載され、そのときに書いたものです。

黒人女性の理想の男性像に大変化
今回はイギリスのお話。 女性の好みは日々変化する。10年前のトレンディ男が、現在はダサいということも、よくある話し。 国や人種の典型的な理想の男性像は、変わるものなのだろうか? 時代に逆行していて、いただけないと批判されて...

理想の男性像は、時代によって異なる。10年前のトレンディ男が、現在はダサいということも、よくある話し。日本国内ではキムタクからタッキー、全世界的にはブラピからデカプリオといったように、女性の好みは日々変化する。それでは、それぞれの国、それぞれの人種の典型的な男性像は、変わっていくものなのだろうか? どういうわけか、フランス人というと「え! ベレー帽かぶって、愛をささやくの?」とか、イタリア人といえば、「やっぱり女好き?」とか、ほぼ不変的なイメージができあがっているから不思議だ。

周囲からの印象で語られるならまだしも、「日本男児たるもの」風に、勝手に自ら男性像を作り上げている人たちもいる。この価値観が時代に逆行してしまっているために、いただけないと批判され、ピンチに陥っている男性たちもいるのだ。日本男子ではない。ステレオタイプの黒人の男性たちである。

「たくさんの女性との間に数多くの子供を産ませる」 ちょっと言葉は悪いが、イギリスの新聞によると、これが黒人社会で自他共に認める男性像なのだそうだ。ダンスでデートが始まり、熱烈な恋愛期間があり、子供で関係が終わる。強さが男のシンボルの彼らにとって、「子沢山であること」が勲章らしい。しかし、時代は刻々と変化している。白人社会に住む黒人女性は、こんな同郷の男たちにウンザリしているのだ。彼女たちは、BMWを持ち、花をプレゼントしてくれるような優しい男性、永遠の幸せを約束してくれる堅実な男性を理想としだしたからである。こんなメメしいことは、主義に反する。黒人男性にとっては、最も苦手とている振る舞いが、求められているのだ。

これでは、男と女の溝は深まるばかり。黒人男性は、知的な黒人女性が苦手。自分を尊敬してくれる女性が好きなのだ。行き着く先は、ウブな若い女の子。そして、デートが始まり、子供で終わる・・・。

これまでの価値観がひっくり返り、男性は戸惑う。まして、男性が絶対的権力を持っていた文化圏ほど、そのドンデン返しは大きいといえる。男女平等に敏感な白人社会で生活する黒人たちは、そのギャップに悩むのも当然だろう。

同じ文化、肌の色を持ちながら、価値観がズレてしまうのは、男性にとっても、女性にとっても、寂しいものだ。黒人男性たちは、子供の数自慢をする時代は終わったと、ひそかに感じているそうだ。だからといって、女性たちの理想とする男性像をそのまま受け入れることができるのか。新しい黒人男性像は未定で、本人たちもこれからどう作り上げていくかを模索中という。

男性は、女性の理想に近づいていくのか、それとも、わが道を突っ走るのか? いずれにしても、時代の流れの中で、男と女の理想は、永遠ではないということは確かだ。

(2013.09.25 08:00)

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