フランスと日本の離婚の違いについて、気づいたことをまとめてみました。
フランスの年間の離婚数は117,716件(1996年)。
1995年の日本の離婚件数は199,016で、フランスに勝っています。
ただ、日本はフランスより人口が多く、両国の結婚数もわからないので、比較しても意味がないかも。
数字だけを見て感じたことは、日本は離婚数が多いわりには、社会で語られる機会が少ないということ。
フランスは、ヒステリックなほど、離婚について話題になります。マスコミにおいても。
日本の場合、双方で話し合う「協議離婚」が約90%を占めるそうですが、フランスは10%以下(1996年現在)。
フランスのアドバイスによると、夫婦間で取り決めたことに裁判所は一切関与しないので、細部までしっかりと決めたほうがいいそうです。
話し合いが苦手な日本人が、どの程度の話し合いで同意に至るのか、少し疑問が残ります。
離婚直前の相手とは、口もききたくないし顔も見たくない、とも思うので。
夫婦間では片がついていると思っていても、子供の問題が後を引いているケースは少なくないように見受けられます。
フランスはほとんどが裁判で決着をつけるのですが、参考までに、フランスの離婚の種類は次の通り。
双方申し立て(同意離婚) 49,463 42%
一方の希望が受け入れられるケース 15,876 13.5%
6年以上の別居による共同生活の崩壊(破綻離婚) 1,783 1.5%
過失による(有責離婚) 50,490 42.9%
日本では熟年離婚が増加しているそうですが、フランスの熟年離婚は10%ほどです。
フランスの離婚時の結婚年数は、次のようになっています。
5年以内 20,231 17.2%
5~10年 25,009 21.2%
10~15年 19,411 16.5%
15~20年 17,607 15%
20~25年 14,088 12%
25~40年 12,820 10.9%
フランスでは、補償給付金の支払いを拒否すると、拘留される可能性があります。
子供の親権について、両国は対照的です。
フランスでは、「共同親権」が原則ですが、日本は、どちらか「親権」が決まらなければ離婚できないそうです。
夫婦なら二人とも親権者であっても、離婚後は共同で親権者となることができないとのこと。
別れても、子どもにとってはどちらも親なのに、変ですね。
どちらか親権を選ぶという行為は、子供にとってとても残酷な仕打ちです。
離婚は子供のせいではないのに、片方だけを選ばなくてはならないなんて。
しかも、離婚後に親権を変更したい場合は、家庭裁判所に申し立てなければならないそうです。
協議離婚が9割なのに、親権変更は家庭裁判所で決着をつけるというのも、理解しがたい。
これもまた、子供本位ではない気がします。
さらに、日本では、別れて暮らす子供との「面会交渉権」は認められていますが、義務ではありません。
双方の話し合いで、「面会」についても決めることになります。
接触を阻止される可能性も高く、それに関して口出しできないともいえます。
フランスでは、一緒に暮らしていない親も定期的に子供と会うことになっています。
面会を怠ったり、妨害されると、大騒ぎになります。
フランスのように、離婚後に子供が父親と母親の家を行ったり来たりするのもベストだとは思いませんが、片親に会う機会を奪われ、一方的に育てられるより、子供の将来にとってはいいのかもしれません。
日本で毎日のように起きている悲惨な事件のいくつかは、家庭環境が大きく影響しているともいえるので、もっと子供の立場から、離婚を考える必要があるのではないでしょうか。
フランスでは、精神科医や臨床心理士のカウンセリングに離婚の相談をするケースが珍しくありませんが、日本で一般的な窓口となっているのは、自治体の相談所やNPOのようです。
お役所に相談をするより、心理的な面をフォローしてもらえる専門家に相談したいです、私なら。
フランスだけではないでしょうが、欧州の国には、家族問題や恋愛問題を専門にする精神科医や心理カウンセラー、社会学者が多いというのも、日本との相違点です。
日本の扶養的財産分与の支払い期間は3年程度で、財産分与や慰謝料は、離婚成立後、3年ほどで請求できなくなります。
つまり、日本では、元の配偶者とのつきあいは、3年もすれば完全に終わるといえなくもありません。
フランスは、子供の問題もあるので、一生ついてまわるといった感があります。
(2005.12.11 16:51)