昨年末、2度目の「冬ソナ」を観ながら、思った。「まずい、またハマる」と。
それにしても、どうしてなのだろう? われながらギョっとしてしまう。
「冬ソナ」ブームの謎は、さまざまなところで分析されている。
運命に翻弄されるヒロインたちという設定は、「赤いシリーズ」に似ていて、昔のワクワク感がよみがえる。それは同感。
もう少し最近では、「ふぞろいの林檎たち」の感動がよみがえるとか。
いずれにしても、甘い懐かしさが、女性たちを酔わせている秘密……。
でも、待てよ。若かりし頃を回想しているだけで、時間がピタリと止まってない?
恋愛のピークは、あの時代で終わってしまったかのように。
振り返ると、過去は美しいけど、前を見ても、未来にロマンはない!
諦めの気持ちを慰めながら、このドラマを観ているところもある気がする。
大人の恋って、日本では30代止まりでしょ。40代からは「中年の恋」って言うらしい。
ある週刊誌の見出しで、「40代からの中年の恋を考える」と書いてあったし。
「中年の恋」って、淫靡で不健康な響き。しかも、40歳から「中年の恋」だって、ゲッ。
年相応の恋愛観って、あっていいはずなのにね。もちろん、素敵な夫婦愛も。
美しい中年のロマンスは、海外の映画やドラマにはあるけど、現実的じゃない。
「西欧人って、いくつになってもお盛んね」と、揶揄する日本人のほうが多いかも。
で、お先真っ暗の現実や将来には目をつぶり、過ぎ去った後ろばかり見ちゃう。
共感できる大人の恋物語が存在しないから、乙女チックな純愛にワープする。
もし、素敵な「中年の恋―大人の恋―」が成立する社会なら、これほど「冬ソナ」に熱中しないのではないかしら。
「冬ソナ」を観て、ロマンティックな恋愛気分にひたっているときの自分は、精神年齢がぐっと低くなっているみたい。若返るというより、成長が止まってるというか。
いい年して小娘のようにはしゃぐのは、けっこう気味が悪い。と知りながらもね。
でも、恋する中年女(男もだけど)のほうが、イメージ良くないしなぁ。
(2005.02.09 18:36)